豪雨被災を巡る、倉敷市長の愚かな発言と、朝日新聞・小沢記者の愚かな記事の顛末
救護所で、半ばゴミと化している支援物資たる余剰の衣類(NHKのWEB記事から転載)
昨日のブログ記事で、岡山県倉敷市の伊東香織市長は8日の会見で「着替えが足りない」と発言したこと、そして、その発言を取り上げた朝日新聞、小沢邦男記者の記事は、愚の骨頂であると指摘した。
(参考)昨日のブログ記事(タイトルは今回の記事と似てますが、別内容です)
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/07/10/020000
その後の倉敷市の“衣類”事情は、ブログ主の予想通りの展開をたどっているようだ。
HUFFPOSTの記事で知ったのだが、市長が記者会見で「着替えが足りない」と発言した同日に、倉敷市の行政当局は次のようなツイートをしていたようだ。案の定、個人からの物資提供は、「百害あって一利なし」で、単に被災者支援活動の妨げとなっているだけなのだ。
倉敷市からのお願いです。現在、倉敷市では個人の方からの救援物資を受け付けていませんが、真備町川辺橋前に沢山の支援物資が置かれており、自衛隊の通行の妨げになり困っています。お気持ちは大変ありがたいのですが、支援物資を川辺橋前に置かないようお願いします。
HUFFPOSTの7月9日配信の吉川彗氏の署名記事、
“豪雨被害の倉敷市、個人の救援物資が「自衛隊の妨げ」に。いま、できる支援は?”
において、倉敷市の上記ツイートが取り上げられている。
https://www.huffingtonpost.jp/2018/07/09/kurashiki-saigai_a_23477435/
ところで、クダンの小沢邦男記者であるが、7月10日17時30分に、
“倉敷市が支援物資受け入れ一時休止「整理をするため」”
と題する記事をWEB配信している。
倉敷市が支援物資受け入れ一時休止「整理をするため」
西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山県倉敷市の伊東香織市長は10日、全国の自治体や企業からの支援物資の受け入れを一時休止することを市ホームページなどで発表した。すでに多数の衣料品や日用品が寄せられており、「皆様からのご厚意の支援物資を、必要とされている方に届ける整理を行うため」としている。
豪雨で大規模に冠水した同市真備地区の住民は、今も2500人超が市内外20カ所の避難所に身を寄せている。伊東市長は8日夕の会見で「みなさん着替えが足りない」と、自治体や企業に支援を要請。これを知った衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが9日、衣料品約7千点を支援物資として送ると表明するなど支援の輪が広がっていた。
今後は支援が必要な物資が生じた際に、その都度呼びかけたいという。(小沢邦男)
なんと、小沢記者は、この期におよんでも懲りることなく、「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの売名行為を肯定的に取り上げているではないか。ブログ主は、決してゾゾタウンやらを敵視したりディスる意図は全くないが、特定の社の行為だけを繰り返し取り上げていることに、小沢邦男記者個人が、同社と「特別な関係」(いわゆる癒着)にあるのではないかと勘繰ってしまいたくなる。さらに、小沢記事のタチが悪いところは、一般個人から提供された衣類が、現地で救護活動に支障をきたす迷惑なお荷物になっているという事実に一切触れていないことだ(前述のHUFFPOSTの記事や後で触れるNHKの記事を参照のこと)。
ちなみに、衣類の提供を申し出ているのは、ゾゾタウンだけではない。共同通信は、9日夕刻に、
“グンゼが避難所に肌着を無償配布 岡山の三カ所に、9600枚”
と題する記事を配信している。
グンゼが避難所に肌着を無償配布 岡山の三カ所に、9600枚
肌着大手のグンゼは9日、浸水被害が大きかった岡山県倉敷市真備町の三つの避難所に、計約9600枚の肌着を無償で配布すると発表した。同日中に被災者へ届く見通し。
男性用約4500枚、女性用約3900枚、子ども用約1200枚を配布。いずれも上下が半々程度で、広報担当者は「着の身着のままで避難した方に、真新しい肌着を使ってほしい」と話している。
この記事は、グンゼ株式会社のプレスリリースに基づくもののようだ。このプレスリリースによると、グンゼの対応は、緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」の要請を受けたものであり、事前協定に基づく計画的で周到な支援活動であることが確認できる。グンゼも、CSRとして積極的に広報している点において、火事場の売名行為的側面が無きにしも非ずであるが、ゾゾタウン社長個人の思いつきの売名行為とは異なり、公共性の高い活動であると評価できるものである。
ちなみに、他にも、アパレル企業等から衣類提供の「輪が広がっている」ようである。例えば、Fashionsnap.comの以下の記事が参考となる。
https://www.fashionsnap.com/article/2018-07-10/westjapan-shien/
いずれにしても、倉敷市は今や衣類が飽和しているのであり、無計画に大量の衣類を半ば売名行為で送りつけても、現場の負荷を増大させるだけの愚行に過ぎない。
もちろん、売名行為ではなく、地道に、関係自治体と連携し、計画的・効率的に物資を提供されている企業が存在することは承知しており、かかる行為についてはブログ主は称賛するものである。
そしてもう一つ、NHKが7月10日16時52分にネット配信した記事も引用しておこう。
倉敷市が支援物資受け入れを休止「秋冬の衣服も…」
今回の豪雨で大きな被害を受けた岡山県倉敷市は、全国から食料や服などの支援物資の提供を受け付けていましたが、避難所などへの配送作業が滞っているとして、支援物資の受け入れを一時的に休止することにしました。
岡山県倉敷市では、全国の企業や市民から食料や服などの支援物資の提供が相次いでいます。 市では、提供を受けた物資を広い範囲が水につかった真備町箭田にある真備総合公園の体育館に集めていましたが、物資を置くスペースが足りないことや、仕分けする職員が足りないことなどから、避難所への配送作業が滞っているとして、10日から支援物資の受け入れを一時的に休止することを決めました。
倉敷市は「被災者のニーズと合っていない秋冬の衣服などの提供も多く、避難所のスペースを圧迫してしまっている。今後、必要とされている物資をしっかり届けるためにも休止に理解してほしい」と話しています。