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東京五輪中止署名に係る報道の備忘録

 

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共同通信の5月6日20時26分配信?の不思議記事

 

日弁連会長の宇都宮健児の爺ちゃん・74歳が、署名サイト「Change.org」を通じ、5月5日午前12時から東京五輪中止を求めるオンライオン署名を開始したんだってさ。でも、本当に70過ぎの宇都宮の爺やに、オンライン署名をしかけるセンスがあるんだろうか。誰か黒幕がいて、宇都宮の爺やを客寄せパンダとして利用して署名活動をやっているのではないか、と勘ぐってしまいたくなるが、そんなことはさておき。


オイラは、COVID-19が流行する前から、そもそも東京五輪ナンぞには全く興味なく、今更中止になろうが開催を強行しようがどうでもいいと思っているのが正直なところであるが、このところの宇都宮の爺やのオンライン署名活動を取り上げるマスメディア報道は興味深くウォッチしている。

 

ここで、時系列的に、マスメディアの報道を並べてみよう。
(5月8日の夜に、暇つぶしで検索作業を行ったもので、それまでに検索下位となりネットの大海に埋没してしまった記事があったとしても、拾い切れていないのであしからず。)

 

第1段階 初期段階では専らスポーツ紙の報道が先行

 (1)東スポ 5/5(水) 13:48配信
「日本に余裕ない」都知事選に3度出馬の宇都宮健児氏が五輪中止を求める署名活動スタート
 名誉ある本件署名活動の第1号記事である。この記事では、署名活動の開始について言及しているが、何件の署名が集まっているかは触れていない。

 

(2)日刊スポーツ  5月5日 20:18配信
宇都宮健児氏「一刻も早く」東京五輪開催中止へオンライン署名求める投稿

 宇都宮の爺やが、ツイッターを通して、「東京五輪開催中止」へのオンライン署名を求めるコメントを投稿したことを紹介している。この記事では、「署名人数は5日午後8時過ぎに3万人を超えた」と記載されている。

 

(3)スポニチ   5月5日 21:56配信
宇都宮健児氏 東京五輪中止求めオンライン署名をスタート 五輪開催の可否の関心高く
 この記事では、「署名人数は5日午後9時30分すぎに3万5000人を超えた」とされている。

 

(4)デイリースポーツ 5月6日(配信時間不明)
五輪中止署名、10万筆超宇都宮元日弁連会長が呼び掛け

 この記事では、「6日午後7時45分時点で10万筆を超えた」とされている。

 
第2段階 10万筆を超えると一般メディアの報道合戦が過熱

 (5)共同通信 5/6(木) 20:26配信
五輪中止署名、15万筆超 宇都宮元日弁連会長が呼び掛け

 ヤフーサイトに掲載された記事によると、5月6日20時26分配信としつつ、本文では「7日午前0時時点で15万筆を超えた」と書いてあるではないか。どうして、配信時間よりも後の時点における署名数を記述できるのだろうか。配信時間の単純な誤記なのか、意図的な改竄か、はたまた20時26時の時点で、7日午前0時時点の署名数を高等テクニックを駆使して通信社が推測したのか、それとも署名活動の主催者が通信社に数時間後の署名予測値の憶測を語ったのか、好奇心が書き立てられる記事である。

 共同通信が運営する47NEWSに当たってみたところ、事実関係が判明した。47NEWSでは、6日20時26分に「6日午後7時45分時点で10万筆を超えた」とする記事を配信しているが、7日0時09分に、この部分を「7日午前0時時点で15万筆を超えた」と変更し、他の部分は20時26分の記事内容と全く同一の記事を再配信していたのだ。

 ちなみに、デイリースポーツWeb上の(4)の記事は、自社記事ではなく、共同通信が20時26分に配信した記事であった。

 要するにこう言うことだ。5月7日の朝刊向けに、降版時間が22時頃の早刷用に「6日午後7時45分時点で10万筆を超えた」という記事をまずは20時過ぎに加盟社に配信し自社サイト(47NEWS)にも遅滞なく掲載した。その後、降版時間が25時頃の遅版(最終版)に間に合うよう、最新の数字に時点修正をして加盟社に7日0時過ぎに配信、47NEWSにも遅滞なく掲載したということであろう。

 であれば、ヤフーサイトに掲載された「7日午前0時時点で15万筆を超えた」とする記事については、配信時間は「5月7日0時09分配信」と記すべきだったのではないか。なのにどうして、疑義を招くようなマネをしでかしたのか。その理由は、次の挙げる毎日新聞の(6)の記事の存在だ。

 同業他社よりも1分でも早く報じることを競うマスコミ業界は、ライバル社よりも先んじて配信したことを顕示したい習性を持っている。共同通信の加盟社である毎日新聞が、共同の記事配信から遅れること10分後の20時36分に、共同の記事をパクることなく自社記事をWeb掲載している。

 共同のWeb担当者の心理としては、配信時間を7日0時09分と正直に上書きすると、毎日新聞よりも10分競り勝った事実が見えなくなってしまう。であれば、読者に不信感を抱かせてしまう懸念には目をつぶって、配信時間は6日20時26分のままで「7日午前0時時点で15万筆を超えた」という不自然なヤマしい記載を載せよう、という判断になったということが容易に想像できる。

 

(6)毎日新聞 2021/5/6 20:36配信
「五輪中止を」32時間で10万筆 盛り上がる世論 病院も抗議
 この記事では、「6日午後8時までの32時間で10万筆を超えた」と記載されている。

 

(7)朝日新聞 2021年5月7日 9時36分配信
五輪中止ネット署名、2日で18万人 宇都宮氏呼びかけ
 共同通信毎日新聞の記事掲載から13時間遅れで、自称高級紙の朝日が、「7日午前9時の時点で、すでに18万人以上の署名が集まった」とする記事をWeb掲載している。毎日の朝刊記事や、共同の配信記事が地方紙各紙で掲載されているのを見て、大慌てで追っかけたのだろう。

 ちなみに、8日の朝刊紙面には、「7日午後7時の時点で22万人」という数字で記事を載せている。

 

(8)NHK 2021年5月7日 18時31分
東京五輪・パラ中止求めるオンライン署名 開始3日で20万人超に
 次いでNHKが、「新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京オリンピックパラリンピックの中止を求める署名活動が行われていて、開始から3日目で20万人を超える広がりを見せています」とする記事をWeb掲載。

 おそらく、NHKの編集局内では、この記事の報道を巡って侃々諤々の議論があったはずだ。官邸に忖度する経営陣に忖度する政治部デスクは、官邸からの批判を恐れて記事化には断固反対し、一方で、忖度しないことをムネとする批判精神旺盛な社会部デスクは記事化を強く主張したことだろう。

 記事の末尾に「サイトの運営団体によりますと、2012年の日本版の開設以降に行われた8200件余りの署名活動の中で、最も早く20万人を超えたということです。」と書かれているが、中止署名への支持姿勢が明確で読者に署名への同調をけしかけるような蛇足は、さすがに官邸の逆鱗に触れたに違いない。

 

(9)時事通信 05月08日00時18分
東京五輪中止を」24万筆超 コロナ下開催に不安の声―オンライン署名で
 更に時事通信も参戦し、「8日午前0時時点で24万筆超集まった」とする記事を配信。


弁護士ドットコムニュースの2つの記事

 ところで、NHKの5月7日の記事では、「最も早く20万人を超えた」と史上初であることにアクセントが置かれているが、同日の「弁護士ドットコムニュース」の記事によると、「過去に20万筆を超えた署名キャンペーンは2件あった」ようだ。記事を引用しよう。

 署名スタートから丸2日が経った5月7日13時30分ごろ、20万筆を超えた。
Change.org Japanによると、今回の署名の賛同数は歴代3位(同時点)だ。過去に20万筆を超えた署名キャンペーンは2件ある。
 1位は、森友改ざん問題で自死した赤木俊夫さんの妻が真相究明を求めて立ち上げたキャンペーン(約38万筆)、2位は、東京高検の黒川弘務検事長(当時)の辞職をもとめるキャンペーン(約35万筆)だった。
 この勢いがつづけば歴代1位に迫りそうだ。

  弁護士ドットコムニュースでは、5月8日22時39時には、「東京五輪の開催を支持するネット署名も開始 8000筆を突破」とする記事も配信している。

 東京五輪の中止を求めるネット署名が広がりを見せる中、同じ署名サイト「change.org」上で、評論家の竹田恒泰氏が5月8日、開催を支持する署名を立ち上げ、開始5時間で署名が8000筆を超えた。

 竹田氏は東京五輪の開催について、「『どのようにすれば開催できるか』を突き詰めていき、直前まで開催に向けて模索するのが当然」「招致を決めた日本の国際的な責務」と主張している。

 また、外国人の観戦を見送ったことで、感染拡大のリスクが大幅に低減したことや、競技場や選手村で、最高レベルの感染対策がとられていることなどを指摘している。

 宇都宮健児弁護士が展開している反対署名は5月8日22時30分時点で28万筆を超え、かなりの勢いを見せている。

 反対署名について、竹田氏は「たとえ宇都宮氏の反対署名の数に及ばなかったとしても、それなりに『開催すべき』と思う人々がいること、決して世論は開催反対で染まっているわけではないことを示すことができたら、この署名の目標は達成できたと考えます」としている。

 存在自体がギャクな存在である竹田恒泰のオッサンが、またしてもパロディー遊びをやってくれているではないですが。東スポWebも、「竹田恒泰氏が五輪開催を支持するオンライン署名活動開始! 父は贈収賄疑惑で辞任のJOC前会長」という見出しの記事を5月8日23時23分に配信しているが、この記事によると「すでに、自民党片山さつき議員や和田政宗議員が賛同」しているらしい。

 止(や)んごとないけど病(や)んごとある竹田恒泰に加えて、片山さつき和田政宗までが登場すると、もはやお笑いの領域であるが、ともあれネトウヨ勢力が今後どこまでこの署名を頑張るのかも興味津々である。

 

読売、産経、北國の反応・扱いは…?

 共同、毎日、朝日、NHK、時事の5社が、宇都宮の爺やの署名活動を記事で取り上げてきたのに対し、政権寄りの姿勢が鮮明で宇都宮の爺や嫌いの読売新聞と産経新聞は、現時点で東京五輪中止署名活動を一切黙殺している状態である。

 絶妙なバランス感覚を誇る両紙のことなので、きっと宇都宮の爺やの署名活動については今後も黙殺を続け、一方で竹田恒泰氏の五輪支持署名をそのうち好意的に取り上げるのではないかとウォッチしている。

 その関連で、東京五輪中止署名をどう扱っているか非常に気になる地方紙がある。それは、失言王・森喜朗との関係が濃密な「北」こと石川県の北國新聞である。オイラの仮説では、森喜朗に忖度して北國新聞東京五輪反対署名活動をガン無視しているのではなかろうか。

 検証するべく、「北國新聞」×「五輪中止署名」で検索をかけてみたところ…。な、な、なんと北國新聞のオンラインでは、5月9日時点において(追記、5日後の11日になっても)、共同通信のクダンの6日20時26分配信の記事がアップされ続けているではありませぬか!

 この記事を掲載している北國新聞のWeb担当者の反屈精神には感服いたしまするが、老いぼれ森喜朗がこの記事の存在を知ったら、血相を変えて「トビ・ジョンイル」こと飛田会長に早く削除せよと介入するだろうな。森喜朗が気づかなくても飛田の知るところになれば、関係者は粛清されちゃうのではないかと危惧いたす次第である。

 

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北國新聞は5月11日になってもクダンの記事をオンラインに掲載!