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日韓の国力を冷静に国際比較する(その5):日韓両国の国際競争力は世界何位?

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世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキング

世界経済フォーラム(WEF)は10月8日に、各国の国際競争力ランキングを示したレポート「Global Competitiveness Report 2019(2019年世界競争力レポート)」を発表した。世界経済フォーラムはスイスの非営利国際経済研究組織で、ダボス会議をはじめとした経済会議を開催するともに、国際競争力ランキングをはじめとした様々な研究報告書を発表している。


世界経済フォーラムによる国際競争力ランキングは、生産要素(factors of production)の成長では説明できない全要素生産性TFP:toal factor productivity)の要因を測定し、労働と資本の結合の効率性や、長期的な経済成長の可能性を評価したものである。


昨年からは、第4次産業革命(インダストリー4.0)の概念に重点をおいた「Global Competitiveness Index 4.0」に評価手法が変更された。新しい評価手法では、「可能性を切り開く環境(enabling environment)、人的資本、市場、イノベーションのエコシステムの4つの大項目に属する計12の中項目ごとにランキングを集計した上で、総合ランキングが算定される。今回は、世界141の国々が評価の対象となった。


具体的な評価項目については、後述するとして、上位30カ国を列記しよう。国名の後ろの括弧内は昨年の順位である。

 

1位 シンガポール(2位)
2位 米国(1位)
3位 香港(7位)
4位 オランダ(6位)
5位 スイス(4位)
6位 日本(5位)
7位 ドイツ(3位)
8位 スウェーデン(9位)
9位 英国(8位)
10位 デンマーク(10位)
11位 フィンランド(11位)
12位 台湾(13位)
13位 韓国(15位)
14位 カナダ(12位)
15位 フランス(17位)
16位 オーストラリア(14位)
17位 ノルウェー(16位)
18位 ルクセンブルグ(19位)
19位 ニュージーランド(18位)
20位 イスラエル(20位)
21位 オーストリア(14位)
22位 ベルギー(21位)
23位 スペイン(26位)
24位 アイルランド(23位)
25位 アラブ首長国連邦(27位)
26位 アイスランド(24位)
27位 マレーシア(25位)
28位 中国(28位)
29位 カタール(30位)
30位 イタリア(31位)
 
日韓の国力を比較する、という本稿の趣旨からすれば、日本の国際競争力は昨年からワンランク・ダウンの6位、韓国は2ランク・アップの13位である。

 

ランキングを見る場合の留意点等

第3回の世界デジタル競争力ランキング、第4回の社会進歩指標、それに今回の国際競争力ランキングはいずれも、数十から100程度の評価指標を選定し、これらを組み合わせて総合評価する、という手法により、総合ランキングが算定されるものである。調査機関から報告書が結果が公表されると、「自国は世界○位、昨年により○○ランクアップ(○○ランクダウン)」という見出しで各国のマスコミにより報道され、読者は、自国の順位のアップ・ダウンやライバル国との順位の高低に一喜一憂する傾向がある。

 

だが、この手のランキングは、どのような基本的考え方・基準のもとに、どのような評価指標を評価対象に選定し、どのような算定方法によりランキングを算出しているか、を理解することなく、総合ランキングの国別順位だけを比較するのは本質的には不毛なことであるとブログ主は考えている。

 

例えば、今回発表された世界経済フォーラムとは別に、スイスの国際経営開発院(IMD)も「国際競争力ランキング」を毎年発表しているが、5月に公表されたIMDの2019年ランキングでは、韓国は世界28位、日本は30位という成績であった。同じく国際競争力に関するランキングであっても、調査機関や調査手法等によって結果は大きく異なることに留意が必要である。

 

ランキングが不毛だと批判めいたことを書いたが、ブログ主は、決してこの手のランキングが全く無意味だと主張してるわけではない。どのような考え方や算定方法によりランキングが算出されているかを理解した上で、経年変化の推移をみることによって、各国の社会経済構造の特徴や構造的課題、将来性について予測することが可能である。ただし、経年推移を評価する場合には、同一調査機関のランキングであっても、年によって、評価方法や評価項目が変化することにも留意が必要である。

 

というのも、上述のとおり、世界経済フォーラムの国際競争力ランキングは、2018年から評価手法が大幅に変更され、2018と2019年とでは評価手法は共通であるものの、2018年は96項目、2019年は103項目と、選定された評価項目数が微妙に異なっている。

 

国際競争力の構成要素の各評価項目・指標の日韓の順位


ここからは、世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキングを構成する各評価項目、指標ごとの、日韓の成績を見てみよう。


まずは、12の中項目ごとの成績である。日韓両国の100点満点評価の得点、141カ国中の順位、各項目の世界第1位の国を表に示す。

 

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日本は、「健康」については100点満点で世界1位であるのに対し、「マクロ経済の安定性」は42位と芳しくない成績である。一方、韓国は、「ICTの普及」「マクロ経済の安定性」は世界1位であるのに対し、「製品市場」は59位、労働市場は51位と低迷している状況にある。なお、「マクロ経済の安定性」については、韓国は世界1位であるものの同点一位に並ぶ国は計33カ国あることに留意が必要である。また、日本が世界一位の「健康」については、同点一位に並ぶ国は4カ国存在する。


本稿は、各項目について詳細な分析を目的としたものではないが、ちょっとだけコメントしておくと、日本が「健康」、韓国で「ICTの普及」が世界第1位であることは合点がいく結果である。また、韓国の「労働市場」の低迷についても、労使対立など同国の雇用環境の厳しさからは納得できる結果である。


ただし、「マクロ経済の安定性」について、同点一位の国が33カ国あるとはいえ韓国が世界1位であることについては、本当に韓国のマクロ経済はそこまで順調なのかと疑問に感じざるを得ない。逆に、「製品市場」が59位と悪成績であることについては、ここまで悪い結果なのかと疑問に感じるところである。この疑問を解消するためには、各項目について、具体的にどのような指標を選択し、どのような重み付けで評価しているのかを確認する必要がある。


最後の表に示すとおり、例えば中項目「制度」は、「1.01 組織犯罪」から「1.26 環境関連条約の発効」までの下位26指標の組み合わせで評価したものであり、中項目「製品市場」は「7.01 財政措置(税と補助金)による競争の歪曲」から「7.07 通関の効率性」までの下位7指標を評価したものである。それに対して、中項目「健康」は「5.01 健康寿命」という単独指標のみで評価しており、また、中項目「マクロ経済の安定性」は「4.01 インフレ率」と「4.02 公的債務変動指標」の2指標のみの評価である。

 

なるほど、各指標まで掘り下げて眺めると、この指標の限界というか、杜撰さが見て取れる。メンバーの専門分野や関心領域については、密度の高い検討を行い、専門性や関心の低い領域はの評価は、手抜きをしていることがよく分かる。保健衛生の専門家であれば、「健康寿命」という単一指標でもって世界の国々の「健康」の度合を評価していることを知れば、一笑に付するであろう。また、マクロ経済の専門家であれば、「インフレ率」と「公的債務変動指標」の2指標でもって、韓国のマクロ経済の安定性が世界最高水準と評価することはナンセンスだと酷評に違いない。


とまれ、最後に、世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキングを構成する全103指標の日韓両国の順位を備忘録的に掲載しておくので、冷静に日韓両国の国力について検討する際に、参考にしていただきたい。

 

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 【出典】

The Global Competitiveness Report  2019

Klaus Schwab, World Economic Forum

http://www3.weforum.org/docs/WEF_TheGlobalCompetitivenessReport2019.pdf

 

 

【本ブログ内の関連記事】

日韓の国力を冷静に国際比較する


(その4):2019年社会進歩指標の成績は?
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/09/29/184500

(その3):デジタル競争力ランキング2019の結果
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/09/28/140000

(その2):世界幸福度ランキング2019の結果から
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/03/21/021200

(その1):パスポートの「実力」は?
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/03/06/010000

 

 

 

 

 



 

 

 

 



 

 

 

日韓の国力を冷静に国際比較する(その4):2019年社会進歩指標(Socail Progress Index)の成績は?

 

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米国の非営利組織Social Progress Imperativeが公表した2019年社会進歩指標

 

 

昨日は、スイスのビジネススクールであるIMDの研究機関が公表した「世界デジタル競争力ランキング2019」を取り上げ、このランキングでは、韓国が世界10位、日本が23位であることを紹介した。

 

本日紹介するのは、9月18日に公表された「2019年社会進歩指標(Socail Progress Index)」であり、「世界デジタル競争力ランキング2019」とはちょうど正反対の順位となっており、日本が世界10位、韓国が23位である。

 

社会進歩指標(Socail Progress Index)は、経済的な進歩ではなく、生活の質の向上など人間としての社会的進歩を評価することを目的とした指標である。具体的には、どのような項目を評価するのかは後述するが、まずは、対象の149か国中上位30各国を列記しよう。なお、国名の後のカッコ内の順位は、昨年の146か国中のランキングである。

 

1位 ノルウェー(1位)
2位 デンマーク(4位)
3位 スイス(3位)
4位 フィンランド(5位)
5位 スウェーデン(11位)
6位 アイスランド(2位)
7位 ニュージーランド(10位)
8位 ドイツ(9位)
9位 カナダ(14位)
10位 日本(6位)
11位 オランダ(7位)
12位 オーストラリア(15位)
13位 英国(13位)
14位 アイルランド(12位)
15位 フランス(16位)
16位 ルクセンブルグ(8位)
17位 スペイン(19位)
18位 ポルトガル(24位)
19位 ベルギー(17位)
20位 オーストリア(20位)
21位 スロバニア(22位)
22位 イタリア(21位)
23位 韓国(18位)
24位 チェコ(26位)
25位 エストニア(27位)
26位 米国(25位)
27位 シンガポール(23位)
28位 キプロス(28位)
29位 マルタ(対象外)
30位 ギリシャ(29位)

 

この社会進歩指標は2013年に試行され、2014年から毎年公表されている。2014年から2019年までの過去の各年の報告書から、日韓両国の順位を拾ってみる。

 

2014年 14位-28位(132カ国中)
2015年 15位-29位(133カ国中)
2016年 14位-26位(133カ国中)
2017年 17位-26位(128カ国中)
2018年  6位-18位(146カ国中)
2019年 10位-23位(149カ国中)

 

データのそろい具合などから、年によって対象国の数が異なるが、おおむね例年、日本は世界で10位台、韓国は20位台をキープしていることが見て取れる。


ちなみに、2018年報告書では、上述のとおり、日本は6位、韓国は18位にランキングされているが、2019年報告書の公表に合わせ経年比較のため過去データを今回補正した後の数値では、2018年の成績は、日本は11位、韓国は23位と下方修正されている。すなわち、当初の報告書に基づけば、2018年には日韓との前年と比べ一過性に大幅にランクがあがったものの、2019年には再び順位を落としたことになるが、補正後の数字では、2018年19年の両年で、両国とも例年と大差のない順位であることがわかる。

 

社会進歩指標(Socail Progress Index)とは

社会進歩指標(Socail Progress Index)は、米国の非営利組織Social Progress Imperativeが開発し公表している指標で、経済的な進歩ではなく、生活の質の向上など人間としての社会的進歩を評価することを目的としたものである。GDPなどの経済指標を用いることなく、「人間の基本的要求(Basic Human Needs)」「幸福の基盤(Fundations of Wellbeing)」「機会(Opportunity)」の3つの構成要素に関連する51の指標を総合評価して算出される。

 

「人間の基本的要求(Basic Human Needs)」は、(1)栄養・医療提供(2)水・衛生(3)住まい(4)個人の安全、の4つの下位要素により構成される評価指標である。「(1)栄養・医療提供」は、低栄養者の割合、母体死亡っ率、小児死亡率、発育不良児の割合、感染症による死亡率、の5指標により構成される。「(2)水・衛生」は、飲料水へのアクセス、水道水へのアクセス、衛生施設へのアクセス、屋外での排便、の4指標、「(3)住まい」は、電力へのアクセス、電力供給の質、屋内空気汚染による死亡率、調理用のクリーンな燃料・器具へのアクセス、の4指標により構成される。また、「(4)個人の安全」は、殺人による死亡率、犯罪認知、政治的な処刑・拷問、交通事故死亡率、の4指標により構成される。

 

「幸福の基盤(Fundations of Wellbeing)」は、(1)基礎的知識へのアクセス(2)情報通信へのアクセス(3)健康とウエルネス(4)環境の質、の4つの下位要素により構成される評価指標である。「(1)基礎的知識へのアクセス」は、成人の識字率初等教育を受ける子どもの割合、中等教育を受ける子どもの割合、中等教育の男女差、質の高い教育へのアクセス、の5指標により構成される。「(2)情報通信へのアクセス」は、携帯電話の普及率、インターネットのユーザー数、オンラインガバナンスへのアクセス、メディアへの検閲、の4指標、「(3)健康とウエルネス」は、60歳時点の平均余命、非感染性疾患による早死、保健サービスへのアクセス、質の高い保健医療へのアクセス、の4指標により構成される。また、「(4)環境の質」は、大気汚染による死亡率、温室効果ガスの排出、生態系の保全、の3指標により構成される。

 

「機会(Opportunity)」は、(1)個人の権利(2)個人の自由・自己決定権(3)包摂(4)高等教育へのアクセス、の4つの下位要素により構成される評価指標である。「(1)個人の権利」は、参政権表現の自由、宗教の自由、司法へのアクセス、女性のための所有権確保、の5指標により構成される。「(2)個人の自由・自己決定権」は、不安定な雇用の割合、年少女性の結婚率、人口妊娠中絶への満足度、汚職、の4指標、「(3)包摂」は、同性愛者への寛容性、マイノリティへの差別・暴力、政治力の男女平等性、異なる社会経済状態の者の間の政治力の平等性、異なる社会グループ間の政治力の平等性、の5指標により構成される。また、「(4)高等教育へのアクセス」は、高等教育の期間、女性が教育を受ける期間、大学の世界的ランキングの高さ、世界的ランキングの高い大学の生徒割合、の4指標により構成される。

 

社会進歩指標を構成する要素ごとの日韓比較


冒頭で、これら各指標を総合評価した結果である社会進歩指数のランキングを示したが、ここからは、社会進歩指標を構成する要素ごとに、日韓両国のランキングを見てみよう。前が149カ国中の日本の順位、後ろが韓国の順位である。報告書に倣って、比較的好成績の項目は青色、悪い指標は赤色で示す。


人間の基本的要求3位7位
幸福の基盤3位-25位
機会:20位-26位

 

人間の基本的要求」の下位要素
 栄養・医療提供:34位-19位
 水・衛生:32位-20位
 住まい:9位-22位
 個人の安全:2位5位

 

幸福の基盤」の下位要素
 基礎的知識へのアクセス:3位-7位
 情報通信へのアクセス:17位-3位
 健康とウエルネス:1位-5位
 環境の質:15位-92位

 

機会」の下位要素
 個人の権利:22位-28位
 個人の自由・自己決定権:23位-32位
 包摂:26位-32位
 高等教育へのアクセス:11位-15位

 

社会進歩指標を構成する51指標の日韓比較

次に、51の指標について、日本と韓国のランキングを順に並べる。なお、改めて断るまでもないが、それぞれの順位は良いほうから数えての順番である。例えば、「○○の死亡率」については、数値が低い国から順に並べた順番である。

 

栄養・医療提供」に関する5指標
 低栄養者の割合:1位-1位
 母体死亡率:12位-35位
 小児死亡率:4位-12位
 発育不良児の割合:47位-22位
 感染症による死亡率:51位-49位

 

水・衛生」に関する4指標
 飲料水へのアクセス:48位-30位
 水道水へのアクセス:41位-35位
 衛生施設へのアクセス:15位-1位
 屋外での排便:無し-無し

 

住まい」に関する4指標
 電力へのアクセス:1位-1位
 電力供給の質:9位-20位
 屋内空気汚染による死亡率:3位-3位
 調理用のクリーンな燃料・器具へのアクセス:1位-45位
 

個人の安全」に関する4指標
 殺人による死亡率:1位-19位
 犯罪認知:1位1位
 政治的な処刑・拷問:23位-21位
 交通事故死:8位-48位


基礎的知識へのアクセス」に関する5指標
 成人の識字率:1位-1位
 初等教育を受ける子どもの割合:55位76位
 中等教育を受ける子どもの割合:4位-11位
 中等教育の男女差:1位-1位
 質の高い教育へのアクセス:1位-3位

 

情報通信へのアクセス」に関する4指標
 携帯電話の普及率:1位-1位
 インターネットのユーザー数:13位-7位
 オンラインガバナンスへのアクセス:5位-1位
 メディアへの検閲:66位-16位
 
健康とウエルネス」に関する4指標
 60歳時点の平均余命:2位-10位
 非感染性疾患による早死:3位-2位
 保健サービスへのアクセス:10位-17位
 質の高い保健医療へのアクセス:1位6位
 
環境の質」に関する3指標
 大気汚染による死亡率:10位-47位
 温室効果ガスの排出:32位-71位
 生態系の保全:1位-131位


個人の権利」に関する5指標
 参政権:1位-49位
 表現の自由52位-22位
 宗教の自由:29位-5位
 司法へのアクセス:12位-14位
 女性のための所有権確保:24位-38位
 

個人の自由・自己決定権」に関する4指標
 不安定な雇用の割合:23位-56位
 年少女性の結婚率:20位-1位
 人口妊娠中絶への満足度:84位-38位
 汚職:17位-39位

 

包摂」に関する5指標
 同性愛者への寛容性:49位64位
 マイノリティへの差別・暴力:17位-9位
 政治力の男女平等性:72位-35位
 異なる社会経済状態の者の間の政治力の平等性:12位-72位
 異なる社会グループ間の政治力の平等性:19位-16位

 

高等教育へのアクセス」に関する4指標
 高等教育の期間:32位-4位
 女性が教育を受ける期間:9位-38位
 大学の世界的ランキングの高さ:4位-10位
 世界的ランキングの高い大学の生徒割合:36位-52位

 

ブログ主のコメント

これらの各指標を眺めると、日韓両国の強みと弱みがよく理解できる。「人間の基本的要求(Basic Human Needs)」「幸福の基盤(Fundations of Wellbeing)」「機会(Opportunity)」の3つの構成要素のうち、日韓両国とも、「人間の基本的要求」については世界でトップクラスの成績であるのに対し、「機会」については、両国ともランキングが低迷しており、社会政策的に大きな問題をはらんでいることが見て取れる。


一方で、日韓両国で最も大きな差が生じているのが、「幸福の基盤」についてである。日本は、下位要素の「基礎的知識へのアクセス」「健康とウエルネス」で世界1位であるが、「情報通信へのアクセス」が17位に低迷していることから、「幸福の基盤」は全体として世界第3位となっている。それに対し、韓国では、「情報通信へのアクセス」が3位と好成績であるが、「環境の質」が世界第92位と極めて劣悪であり、「幸福の基盤」は全体として世界第25位に留まっている。

 

さて、日韓両国とも問題をはらんでいる「機会」とは、要するに基本的人権の擁護や社会正義に関する事柄である。日本では、「表現の自由」が52位、「人工妊娠中絶の満足度」が84位、「同性愛者への寛容性」が49位、「政治力の男女平等性」が72位と、先進国としては非常に恥ずかしい結果が示さされている。


これらについて言及を始めるとキリがないが、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」における企画の一つ「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれ、「あいちトリエンナーレ2019」自体の補助金約7800万円の不交付を決定するなど、およそ先進国としてはあり得ない安部政権の愚行により、来年は「表現の自由」の項目は更に順位を落とすことは必至であろう。関連して、「幸福の基盤」の下位要素「情報通信へのアクセス」の1指標である「メディアへの検閲」が日本は66位(韓国は16位)であるのは、政府・自民党によるNHKや民放への露骨な政治介入を反映したものであろう。「人工妊娠中絶の満足度」の低さは、先進国で唯一、堕胎罪が存続していること、妊娠中絶薬が未承認であることに拠ると考えられる。


対する韓国では、「表現の自由」22位、「人工妊娠中絶の満足度」38位、「政治力の男女平等性」35位などは日本よりマシであるし、「マイノリティへの差別・暴力」については世界9位と比較的好成績であるが、「参政権」が49位、「不安定な雇用の割合」が56位、「同性愛者への寛容性」が64位、「異なる社会経済状態の者の間の政治力の平等性」が72位など、同国ならではの社会問題が浮き彫りとなっている。


ともあれ、51の指標を総合評価した社会進歩指標において、例年、日本は10位台、韓国は20位台をキープしているが、さらに上位を目指すには、両国とも、「機会」に関する政治的アクションと社会における価値変容が不可避であろう。

 

(補足コメント)
いくつかの指標については、直感的に事実誤認があるのではないか、と疑問を抱かざるを得ない。例えば、以下の項目である。備忘録的に追記する。


・「発育不良児の割合(Child stunting(% of children))」について、日本は世界47位とされている。「Child stunting」の定義までは確認していないが、日本の保健医療水準を考えると、発育不良児が47位とはにわかに信じられない。日本において、「Child stunting」の解釈等に誤認があるのではないか。


・「飲料水へのアクセス(Access to at least basic drinking water(% of pop.))」について、日本は世界48位とされている。「Access to at least basic drinking water」の定義を確認していないが、日本のインフラ整備状況に鑑みると、自虐的な回答をしているとしか思えない。日本では、水道敷設率が必ずしも高くないかも知れないが、井戸水等の使用であっても、良好な水質の飲料水が全国民に確保されているはずだ。


・「調理用のクリーンな燃料・器具へのアクセス(Access to clean fuels and technology for cooking(% of pop.))」について、韓国は、世界45位である。ブログ主は、韓国の料理文化を理解していないが、薪や炭火などを多用して調理が行われているのだろうか。


・「初等教育を受ける子どもの割合(Primary school enrollment(% of children))」について、日本は55位、韓国は76位であるが、両国の教育水準をに照らせば、もっと上位にランキングされてしかるべきではないだろうか。


・ブログ主は、韓国の環境問題について理解が乏しいが、「環境の質(Environmental Quality)」は実際に世界92位のレベルの極めて劣悪な状況なのであろうか。中国からの大気汚染物質の流入等により、大気環境の質が不良であることは想像できるが、「生態系の保全(Biome protection(% of biomes))」が世界131位の悲惨な状況にあるとは信じがたい。韓国の報告者は、Biome protectionの解釈を誤っているのではないだろうか。

 


【出展】
2019 SOCIAL PROGRESS INDEX Executive Summary
https://www.socialprogress.org/assets/downloads/resources/2019/2019-Social-Progress-Index-executive-summary-v2.0.pdf

 

2014年以降の過去のデータなどは、Social Progress Imperativeの次のサイトに収載されている。
https://www.socialprogress.org/resources

 


【本ブログ内の関連記事】

日韓の国力を冷静に国際比較する

(その3):デジタル競争力ランキング2019の結果
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/09/28/140000

(その2):世界幸福度ランキング2019の結果から
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/03/21/021200

(その1):パスポートの「実力」は?
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/03/06/010000

 

日韓の国力を冷静に国際比較する(その3):デジタル競争力ランキング2019の結果

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スイスのIMDが9月26日に発表した世界デジタル競争力2019ランキング

 

 

今般、スイスのIMD World Competitive Centerが、「世界デジタル競争力ランキング2019」を公表した。


このランキングは、2015年から毎年公表されており、世界の63カ国を対象に、各国が、政府の業務、ビジネスモデル、社会生活の変革につながるデジタル技術の開発や採用に、どれだけ積極的に取り組んでいるかを評価しランキング形式にまとめたものである。

 

具体的な指標については後述するとして、果たして、日本と韓国は、世界何位にランキンしているであろうか?

 

【世界63カ国ランキング】
まずは、上位30カ国を列記しよう。国名の後の括弧内の数字は昨年の順位である。

1位 米国(1)
2位 シンガポール(2)
3位 スウェーデン(3)
4位 デンマーク(4)
5位 スイス(5)
6位 オランダ(9)
7位 フィンランド(7)
8位 香港(11)
9位 ノルウェー(6)
10位 韓国(14)
11位 カナダ(8)
12位 アラブ首長国連邦(17)
13位 台湾(16)
14位 オーストラリア(13)
15位 英国(10)
16位 イスラエル(12)
17位 ドイツ(18)
18位 ニュージランド(19)
19位 アイルランド(20)
20位 オーストリア(15)
21位 ルクセンブルグ(24)
22位 中国(30)
23位 日本(22)
24位 フランス(26)
25位 ベルギー(23)
26位 マレーシア(27)
27位 アイスランド(21)
28位 スペイン(31)
29位 エストニア(25)
30位 リトアニア(29)

 

米国をはじめとするトップ5カ国は、昨年と順位は変わらず磐石だ。

で、日韓を比較すると、日本は昨年から1ランクダウンの23位で、韓国は4ランクアップの10位になってますね。

 

【人口大国29カ国のランキング】
この手のランキングでよく指摘されるのは、広範な諸分野に投資等を分散させる必要のある人口大国と、人口規模が小さく特定の分野に資源配分等を集中することが可能な小国とを、同列に並べるのはナンセンス、という主張だ。このため、報告書では、人口が2000万人以上の人口大国29カ国のみに限定したランキング・リストも示されている。上位15カ国を列記しよう。


1位 米国  
2位 韓国
3位 カナダ
4位 台湾  
5位 オーストラリア
6位 英国
7位 ドイツ
8位 中国
9位 日本
10位 フランス
11位 マレーシア
12位 スペイン
13位 ポーランド
14位 ロシア
15位 サウジアラビア 

 

人口2000万人以上の人口大国のみに限定すると、韓国は米国に次いで世界2位、日本は9位と、ますます両国の格差の大きさが浮き彫りになる結果となっている。

 

【アジア太平洋14カ国のランキング】
地域内比較という観点から、報告書では、地域ごとのランキング・リストも示されている。アジア太平洋14カ国のランキングを列記する。


1位 シンガポール
2位 香港
3位 韓国
4位 台湾
5位 オーストラリア
6位 ニュージランド
7位 中国
8位 日本
9位 マレーシア
10位 タイ
11位 インド
12位 フィリピン
13位 インドネシア
14位 モンゴル

 

このランキングからは、「日本が、アジアや世界のデジタル・IT革命をリードする」とウソぶく安部政権のIT立国やらSociety5.0のかけ声が、虚言・妄言の類に過ぎないことが明らかになっちゃいますね。またしても、不都合な真実

 

【6年間の推移】
2015年から2019年までの各年の日本と韓国のランキングの推移を示す。
日本: 23位 →23位 →27位 →22位 →23位
韓国: 18位 →17位 →19位 →14位 →10位

過去の推移をみると、もはやデジタル競争力の領域では、日本は韓国の足元にも及ばないことは明らかだ。

 

参考までに、中国の推移も示そう。
中国: 33位 →35位 →31位 →30位 →22位
韓国同様、中国も年々ランクをアップさせており、ついに2019年は日本と中国のランクが逆転しちゃっている。

 

自称・愛国派の人たちにとっては屈辱的な結果であるが、これが世界の中の日本の現実なのだ。


安部政権は、7月から半導体製造に必要な材料などに関する「対韓輸出規制」を行っている。これは、日韓の実力差を悟った政権中枢が、何とか韓国の足を引っ張りたいがための必死のもがきである。しかし、各種ベンチマークから両国の基礎体力を判断すれば、一部材料の輸出規制を行ったところで、韓国経済が壊滅的な打撃を受けるものではなく、むしろ、ブーメランとなって日本経済に大きな損失を及ぼすものであることは自明なのだ。

 

【各指標に関する補足説明】

ここから先は、「世界デジタル競争力ランキング」が評価の対象とする指標について紹介する。

 

このランキングは、31の統計指標と、専門家の意見をもとに分析した20の調査データの計51の指標をもとに評価・スコアリングし、総合的な順位を決定したものである。

 

評価にあたっては、「知識(knowledge)」「テクノロジー(technology)」「将来性(future readiness)」の3要素のラインキングと、この3要素はさらに、3つの下位要素ごとの分析が行われる。

 

まず、「知識」については、新たな技術を発見し、理解し、実現するノウハウをどれだけ持ち合わせているかが評価対象になる。(1)人材、(2)教育トレーニング、(3)科学的集中、の3つの下位要素から構成される。

 

次に、「テクノロジーについては、デジタル化技術の開発を促進する政策、規制、投資環境やテクノロジーの枠組みなどを評価する。(1)規制枠組み、(2)資本力、(3)技術的枠組み、の3つの下位要素から構成される。

 

3つ目の「将来性」については、デジタル技術の浸透、俊敏性、デジタルトランスフォーメーションに向けた国の準備度合いなどを評価する。(1)適応力、(2)ビジネスのスピード、(3)ITインテグレーション、の3つの下位要素から構成される。

 

各要素ごとの日韓両国のランキングを見てみよう。前者が63カ国中の日本のランキング、後者が韓国である。
知識:25位-11位
テクノロジー:24位-17位
将来性:24位-4位

 

次に下位要素ごとの日韓両国のランキングを見てみよう。
「知識」の下位要素
(1)人材:46位-30位
(2)教育トレーニング:19位-5位
(3)科学的集中:11位-6位

 

「テクノロジーの下位要素
(1)規制枠組み:42位-26位
(2)資本力:37位-29位
(3)技術的枠組み:2位-7位

 

「将来性」の下位要素
(1)適応力:15位-4位
(2)ビジネスの機敏性:41位-5位
(3)ITインテグレーション:18位-21位

 

3つの要素と9つの下位要素ごとの日韓ランキングを示したが、その中で、日本が韓国よりも上位にランクされているが、「技術的枠組み」と「ITインテグレーション」の2つの下位要素のみである。

 

【51指標のランキング】
最後に、「世界デジタル競争力ランキング」における評価項目である51指標全ての項目について、日韓を比較しておく。いずれにも、前者が63カ国中の日本のランキング、後者が韓国である。63カ国中、1位か2位の優位な項目は青色、おおむねワースト10の劣位の項目は赤色で示す。

 

下位要素「人材」に関する6指標
 PISAの数学の学習到達度:4位-6位
 国際的経験:63位52位
 高度なスキルを有する外国人:51位-49位
 都市マネジメント:11位-17位
 デジタル技術のスキル:60位-26位
 留学生の流動性:25位-50位

 

下位要素「教育トレーニング」に関する6指標
 職業訓練:15位-33位
 国民の教育支出:55位-22位
 高等教育の達成度:6位-3位
 第三期教育における生徒・教師比率:1位-34位
 自然科学分野の卒業者:42位-9位
 学位を持つ女性:8位-20位

 

下位要素「科学的集中」に関する7指標
 研究開発費の支出割合:6位-1位
 一人あたりの研究開発費:16位-5位
 女性研究者数:54位-53位
 研究開発の論文生産性:15位-25位
 科学技術分野の雇用:36位-30位
 ハイテク特許:4位-3位
 教育と研究開発領域のロボット:4位-13位

 

下位要素「規制枠組み」に関する7指標
 ビジネスの開始:42位-7位
 契約の実行:38位-2位
 移民に関する法令:56位-61位
 技術の開発と実行:37位-50位
 科学研究に関する立法:41位-34位
 知的財産権:31位-37位

 

下位要素「資本力」に関する6指標
 IT&メディア企業の時価総額:17位-3位
 技術開発のための資金:32位-42位
 銀行金融サービス:45位-54位
 国の信用力(Fitch、Moody's、S&P):31位-19位
 ベンチャーキャピタル:36位-48位
 情報通信事業の投資:57位-46位

 

下位要素「技術的枠組み」にかする6指標
 情報通信技術:36位-12位
 モバイルブロードバンドの加入者:1位-10位
 ワイヤレスブロードバンドの普及:2位-19位
 インターネットの利用者:5位-16位
 インターネットの回線スピード:14位-2位
 ハイテク産業の輸出額:21位-19位

 

下位要素「適応力」に関する5指標
 電子参加:5位-1位
 インタネットの販売:16位-1位
 タブレットの所有:24位-13位
 スマートフォンの所有:19位-17位
 グローバリゼーションへの態度:44位-19位

 

下位要素「ビジネスの機敏性」に関する5指標
 機会と脅威:63位-43位
 世界ロボットシェア:2位-3位
 企業活動の機敏性:63位-28位
 ビッグデータ解析の活用:63位-40位
 知識の移転:45位-35位

 

下位要素「ITインテグレーション」に関する4指標
 電子政府:10位-3位
 公私の協働:37位-41位
 サイバーセキュリティー:41位-23位
 ソフトの著作権侵害2位-20位

 

 

【出典】

IMD World Digital Competitiveness Ranking 2019

https://www.imd.org/wcc/world-competitiveness-center-rankings/world-digital-competitiveness-rankings-2019/

 

 

【本ブログ内の関連記事】

日韓の国力を冷静に国際比較する

(その4):2019年社会進歩指標(Socail Progress Index)の成績は?
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/09/29/184500

 

(その2):世界幸福度ランキング2019の結果から
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/03/21/021200

(その1):パスポートの「実力」は?
https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/03/06/010000

企業主導の医師向けHPVワクチン大キャンペーンが始まった!

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医師限定情報サイトm3による9月3日開催のHPVワクチン講演会の広報

 

はっきり言って、オイラはHPVワクチンの議論には、全く興味がない。健全な批判的理性でもって判断すれば、現行市販されているHPVワクチンなるもの、人に対する発がん抑制効果は何ら実証されておらず、一方で、様々ないかがわしさを孕んでいることは自明であるからだ。効く証拠なんてないじゃん。絶対に絶対に、自分の娘には接種させない。

 

だけど、権威主義の塊であり自分で物事を深く考える能力を著しく欠損した気の毒な人たちが、HPVワクチンなるものの有効性を妄信しこれを推進しようと企てている状況にある。こんな連中を相手にするのは馬鹿馬鹿しいことであり、本ブログではHPVワクチンには一切関わってこなかった。

 

HPVワクチンの胡散臭さを論じるだけ時間の無駄であるが、とはいえ、HPVワクチン推進派の人たち(MDおよび彼らにソソノかされたヤカラ)のSNS上のつぶやきを興味本位でごくたまに覗いている。最近感じることだが、ワクチン推進派の人たちの書き込みの質は、日に日にオゲレツ化、カルト化しているではないか。悲痛な声でワクチンによる被害を訴える人たちに対し、寄り添うことなく上から目線で小汚い言葉で人格攻撃をしたり、HPVワクチンを接種しないことは大量虐殺行為だと述べたり、接種を再開しなければ日本民族は滅亡するなんてことを平然と主張したり、で。正直、奴らはイカれているとしか言いようがない。

 

ぐら糞スミ○クライン社やメ○ク社が、HPVワクチンの日本市場を開拓するため、某広報会社を迂回して多額の資金を投入し、露骨な政界工作、メディア工作、学会工作、インフルエンサーを積極登用したプロパガンダを続けてきたことは、改めて説明するまでもない。されども、日本政府がHPVワクチン接種の勧奨を一向に再開しないことに、両社の本社上層部は怒り心頭で、日本法人やブローカー達の焦りも益々強くなっていると聞く。そのためか、やることなすこと、益々見境がなくなりつつあるようだ。

 

インフルエンサーとして、オゲレツな中村理子やホリエモンBuzzfeed Japanや医療ガバナンス学会に吼えさせたところで、日本における世論誘導戦略は完全失敗で、むしろ逆効果だということに、愚かにも奴らは全く気がついていないらしい。

 

そして今般改めて、医師限定情報サイトを活用した医師向け大規模キャンペーンを開始したようだ。日本には、m3(エムスリー)、メドピア、ケアネットといった医師免許保有者に限定した会員制情報サイトが幾つか存在するが、その中でも最大手、m3は公称で27万人の会員を擁しているらしい。事実だとすれば、日本の医師32万人のうち、約85%がm3の会員ということになる。

 

で、この医師限定会員制情報サイトm3において、来る9月3日19時から、MSD株式会社の提供により「HPVワクチンOnlineセミナー」を大々的に開催するらしく、2~3日前から、ド派手に広報を開始したようだ。このセミナーは、いわゆるe-ラーニングであり、各会員がWebで閲覧する形式のもので、閲覧した会員には、アマゾンクーポンなどに引き換え可能なポイントが付与される。

 

医師会員が、m3のサイトにログインすると、トップページには、バナー広告的に、HPVワクチンOnlineセミナーのお知らせが同時に大きく3箇所にも登場する。このセミナーの予約ボタンをクリックするまで、医師会員がm3を閲覧する限り、延々とHPVワクチンOnlineセミナーの案内を目にさせられるウザい仕掛けになっているようだ。

 

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m3のトップページには、3箇所もセミナーの広告が…

7月26日(金)の時点で11300人の会員がWebセミナーの視聴予約していたのが、27日(土)までに計32300人に予約者が増加しており、27日のいちにちで2万以上の医師がこのセミナーを予約したようだ。おそらく、本日28日も休日であり、m3にログインして新規にセミナー予約している医師会員は少なくないだろう。

 

成功報酬として、予約・視聴者数が増加すればするほど、MSDからエムスリー社への支払われる謝金は、指数関数的に増額される契約になっているのだろう。ド派手なウェブサイト上の広報からは、MSD、エムスリー両社の痛々しいまでの必死さがひしひしと伝わってくる。ちなみに、MSDでは、厚生労働省出身の医師がHPVビジネスの責任者を務めているらしい。

 

ここで問題です。このHPVワクチンOnlineセミナーの講師は誰でしょう?

(擬音)チッチッチッツ、ピンポーン、答えは、恐れ多くも、長崎大学小児科学教授の森内浩幸センセイであられます!


9月3日の森内センセイのセミナーの概要について、m3の案内では次のように述べられている。


子宮頸癌はHPV感染によって引き起こされ、国内で約3000人の女性が毎年亡くなり、各種癌の中で唯一死亡率は増加傾向にあり、又発症の若年化が進んでいます。特に20~30代の女性にとっては最も多い癌であり、若くして命を失ったり、助かっても子どもを産むことができなくなったりしています。世界中の多くの国々でHPVワクチンが普及し、子宮頸癌は撲滅できると予想され、日本だけが取り残されようとしています。

 

森内浩幸センセイといえば、BuzzFeed Japanの岩永直子ちゃんが読売新聞東京本社を退職し、BuzzFeed Japanに転職するきっかけを与えてくれた、岩永ちゃんにとっては命の恩人の尊師様のような存在だ。

 

岩永直子ちゃん曰く、
「森内先生のHPVワクチンの記事は、前職で上層部から「不適切」と判断されて削除され、大変悔しい思いをしました。バズフィードでもう一度寄稿していただいて、感無量だったのを覚えています。」
「前職でHPVワクチン特集を組んでクレームが殺到し、会社から地方異動を命じられたことを面接で話したのに採用したバズフィードは肝が据わっていた。ここでHPVワクチンの記事を出し始める時「会社にクレームが来るかも」と事前に古田編集長に伝えたら、伝えるべきと思うことを書けと逆に励ましてくれた。」
とのこと(いずれも7月27日のツイートから転載)。

 

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ここで、岩永ちゃんが言及している「森内先生のHPVワクチンの記事」とは、BuzzFeed Newsのサイトに2017年12月14日に掲載された「根拠なきワクチン批判で救える命を見殺しにしないで」という記事のようだ。
https://www.buzzfeed.com/jp/hiroyukimoriuchi/hpvv-moriuchi-1

 

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森内センセイのバズフィードのこの文章、論理学的に読解すれば、新興宗教団体が勧誘した者を洗脳し入信させるための技法が駆使された洗練された文章であることが見て取れる。文章の冒頭部分で、ワクチンとは直接関係しない、誰もが疑義を差し挟まないリスク認知に関する当たり前のことを上品に口上して読者を惹きつけて筆者に対する信頼感を醸成した上で、中盤あたりから「助かったはずの命 VS マスメディアの報道」といった二項対立を煽り、大竹しのぶ坂井泉水里中満智子仁科亜季子三原じゅん子向井亜紀森昌子和田アキ子など有名人の名前を連呼しながら、HPVワクチンの無謬神話を刷り込んでいく見事な扇情文である。

 

ワクチンの有効性について何ら科学的根拠を示すことなく恣意的な数字を提示し、一方で、対象となる感染症のそもそもリスクを過大に捉えて不安を煽り、他方、健康被害については、単なる紛れ込み例であるとの先入観による決めつけとゼロリスクは存在しないという開き直りで、被害を訴える子ども達に真摯に向き合うという科学者としての良心や誠実さが微塵も感じられない。

 

小児感染症については専門家かも知れぬが、森内センセイに、HPV感染症について堂々と専門的に語る専門性があるとは思えない。センセイの専門領域の主張もデタラメだ。「わが国でヒブワクチンが導入されたのは、米国に遅れること21年。この間にわが国では非常に多くの子ども達がHib髄膜炎で命を、または聴力やその他の機能を失いました」とノタまっているが、「非常に多くの子ども達」と情緒的表現で誤魔化さず、具体的に何人か数字で示せよ。日本は、ヒブワクチン導入前から、他の先進国と比べ、Hib髄膜炎の発症率は十分低かったはずだ。素人だましは止めましょうよ。

 

こんな杜撰な雑文を、読売新聞社が掲載を拒否るのは当然ではないか。これを名文と思う輩は、よっぽどサイエンス・リテラシーが低く、まんまとマインド・コントロールを受けちゃっているというほかない。こんなロクでもない文章を評価して掲載にこだわる記者を、大手新聞社が医療担当部署からお払い箱にするのは、あまりにも当然のことではないか。

 

で、2017年12月14日付の森内センセイの文章の末尾に、以下のような文章が付記されている。


付記:筆者はHPVワクチンの製造販売企業を含め、数多くの企業が共催するワクチン啓発活動に係わり、正当な対価を得ています。しかしその行動原理はただ一つ、ワクチンという最善の医薬品によって病気を防ぎ命を守ることに可能な限り貢献したいからです。特定の会社の特定のワクチンの宣伝のための活動をしたことはなく、これからも一切しません

 

へえ~~。森内センセイ、「特定の会社の特定のワクチンの宣伝のための活動をしたことはなく、これからも一切しません」と断言しちゃってますよ。大丈夫なのかしら。ともあれ、9月3日に、MSDがスポンサーのm3のライブ講演で、森内センセイが何を語るか注目しようではないか!!

 

 

《訂正とお詫び(7月29日)》

当初、この記事を掲載した際、確定的情報ではないと断りつつ、某社では「厚生労働省を最近退職した女性医師をHPVワクチン推進の責任者に就けて」いる旨を記載しておりましたが、確認した結果、厚生労働省を最近退職した女性医師がワクチン部門責任者に就いているのは、HPVワクチンを扱っていない別の外資系製薬企業であり、筆者の事実誤認であることが判明しました。該当部分を削除するとともに、誤解を与えたことについて、関係者に、深くお詫びを申し上げます。

女性記者セクハラ被害事件簿第27号(厚生労働省吉岡てつを局長によるセクハラ被害者は女性記者!?)

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写真は「厚生労働省 総合職入省案内2014」25ページ

 

 

【加害者】吉岡てつを内閣官房新型インフルエンザ室長(内閣審議官)(当時)


【被害者】知人女性


【明るみに出たきっかけ】
 厚生労働省の記者発表→2019年7月26日夕方に各社報道


【事案の概要】

NHKと時事通信の記事を転載する

 

厚労省 知人女性にセクハラで処分 前局長に停職1か月
2019年7月26日 17時26分

厚生労働省九州厚生局の前の局長が4年前、業務を通じて知り合った女性に無理やりキスするなどのセクハラ行為をしたとして停職1か月の懲戒処分を受けました。

処分を受けたのは、厚生労働省九州厚生局の吉岡てつを前局長(56)です。

厚生労働省によりますと、内閣官房新型インフルエンザ等対策室に室長として出向していた4年前の平成27年11月に、業務を通じて知り合った女性と都内の飲食店で食事をしたあと、公園に連れて行き、無理やりキスをしたり体を触ったりしたということです。

厚生労働省が事情を聞いたところ事実関係を認めたということで、セクハラ行為にあたり信用を失墜させたとして、停職1か月の懲戒処分としました。

前局長は今月8日まで九州厚生局の局長を務め、現在は厚生労働省の大臣官房付となっています。

厚生労働省は前局長が何の業務で女性と知り合ったかなどについては公表しておらず、「幹部職員を対象としたハラスメント研修を充実し、再発防止に努めていきたい」とコメントしています。

 

セクハラで幹部職員停職=無理やりキス、胸触る-厚労省
2019年07月26日17時33分

 厚生労働省は26日、2015年11月に知人女性に無理やりキスし、胸を触るなどのセクハラ行為を行ったとして、官房付の男性幹部職員(56)を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。関係者によると、この職員は吉岡てつを前九州厚生局長。いわゆるキャリア官僚で、当時は内閣官房に内閣審議官として出向していた。事実関係を認めているという。

 女性とは業務を通じて知り合い、飲食店で仕事上の話などをした後、近くの公園でセクハラ行為に及んだという。厚労省国家公務員法上の「信用失墜行為の禁止」に違反すると判断した。
 女性が刑事告訴を行っているかどうかについて、厚労省は「回答を控える」と話している。

 

 

【ブログ主のコメント】

現時点での新聞・テレビ報道では、厚生労働省幹部が4年前にしでかしたセクハラの被害者の素性については明らかにされていない。

 

被害者のプライバシーの観点から、おそらく、一般紙やテレビでは、今後も被害者の人物像が明かされることはないだろうが、近日中に、夕刊タブロイドや週刊誌でコトの詳細が明らかにされることであろう。

 

現時点では、ブログ主も確定的情報を持っていないが、79.4%以上の高い確率で被害者は女性記者であるに違いない。

 

報道によれば、「業務を通じて知り合った女性に無理やりキスするなどのセクハラ行為をした」「女性とは業務を通じて知り合い、飲食店で仕事上の話などをした」とのことであるが、「業務を通じて知り合った女性」と「飲食店で仕事上の話などをした」というのがカギである。

 

職種によって「業務を通じて知り合う異性」は多様であるが、国家公務員の場合、①所管業界の関係者、②コンサルなどの委託業者、③専門家(研究者、有識者)、④他省庁の役人や地方公務員、⑤新聞記者などと日常的に業務上接点があると思われるが、本件加害者は、基本的に個室が与えられているであろう高級官僚である。個室で偉そうに鼻くそをほじっている高級官僚のところに、所管業界の関係者、コンサルなどの委託業者、専門家(研究者、有識者)、他省庁の役人や地方公務員などの属性の女性が1人で訪ねてくることは通常想定しえない。高級官僚の個室に訪ねてきて、サシ飲みしながら仕事の話をする女性とは、女性記者と相場が決まっているのだ。1年前に話題となった財務省福田淳一事務次官(当時)によるテレ朝女性記者に対するセクハラと全く同じ構図だ。


2015年11月といえば、内閣官房新型インフルエンザ対策室では、新型インフルエンザに対し実際に効果があるかどうか科学的には直接証拠のない「抗インフルエンザウイルス薬」なるものの国家備蓄について、利権まみれで議論されていた時期である。マスコミ各社は、他社よりもいち早く政府の備蓄方針についての情報を入手して、前打ち(スクープ報道)するための取材合戦を繰り広げていたはずである。

 

オッサン記者やババア記者が取材に来たところで、神妙な面持ちで口を割らない吉岡審議官殿であったが、チャーミングな若い女性記者が取材に来て、「ちょっと食事に行こうよ。俺、酒が入ると口が軽くなって機密情報しゃべっちゃうからさ」とでも言って、飲み屋に連れ出すことに成功。調子に乗って飲んでるうちに、ついついムラムラときてクチビルを奪い、さらに、後先のことに気をもまず乳をモムという蛮行に及んでしまったのであろう。

 

本件のような役人と女性記者との間でセクハラが頻発する構造的要因について、本ブログの第1号記事「セクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業」https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/04/23/012930において詳説しているので、関心があればご覧くだされ。

 

ちなみに、この吉岡審議官殿、「厚生労働省 総合職入省案内2014」によれば、医療行政を統括する医政局総務課長や、省全体の予算を牛耳る官房会計課長を歴任しているようであり、スーパーエリート官僚である。こんなハレンチ事件を起こさなければ、確実に本省の局長までは出世し、運良ければ次官候補にもなりえたであろうに。

https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/pamphlet/dl/2014-sougou_all.pdf

 

それにしても、4年以上前に事案がどうして今になって明るみに出たのであろうか。すっかり下火になった#Me Too 運動に触発されて、遅ればせながら、被害女性が会社の上司に相談し、会社から公式に厚生労働省に抗議、さらに、厚生労働省において、本人への聞き取りなど事実関係の確認から処分決定までに一定の時間を要したのだろう。もうしすれば、もう少し早いタイミングで方針は決定していたものの、参院選挙期間中は発表を回避する政治的判断がなされ、夏の人事異動から遅れること1か月、このタイミングとなったのかも。

 

(追記)

テーミス2018年9月号に次のような記事が掲載されていたようだ

 

左遷の原因は女好き? “番狂わせ”が起きた厚生労働省の人事異動


今夏の厚生労働省幹部人事に“番狂わせ”があった。地方・他省庁への出向が続き、「今年こそ本省の局長に…」と言われた吉岡てつを氏が、九州厚生局長に異動となったからだ。吉岡氏は早稲田大学政経学部を卒業後、1985年に旧厚生省入省。「兎に角、押しが強い」と評判で、第1次安倍政権で官邸特命室の参事官に大抜擢。年金記録問題や後期高齢者医療制度を担当し、第2次安倍政権では出世コースの会計課長に昇り詰めた。ところが、それ以降は厚労省所管の独立行政法人への出向、総務省の情報流通行政局審議官と続いた。「吉岡氏は女性に対しても強引で、女性職員から女性記者まで声をかけまくっていた。それが官邸の耳に入った」という噂もある。氏が人事発表前に自身の『フェイスブック』で異動を公表したことも問題になっており、当分、本省に戻れそうもない。

 

 

 

【本ブログ内の関連記事】

・セクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/04/23/012930

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第1号から第10号までの概要

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/08/194300

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第11号から第20号までの概要

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/20/204300

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第20号(SKE48須田亜香里も言及して話題となった事例)

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/19/120000

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第16号  

 高校野球強豪、常葉菊川の監督と選手が起こしたセクハラ事件

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/14/200200

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第6号

 加害者が自殺した二重に悲劇の事例①

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/03/173500

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第14号 

 加害者が自殺した二重に悲劇の事例②

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/12/203300

女性記者セクハラ被害事件簿第26号(読売新聞のセクハラ記者の実名が判明!)

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法政大学自主マスのパンフから


 

 3月23日土曜日の夜、読売新聞を除くマスコミ各社(時事、朝日、毎日、共同)が、読売新聞富山支局の男性記者が、懇親会で他社の女性記者にセクハラをして処分された旨を一斉に報道した。

 

他社に先駆けて配信された時事通信の記事を引用しよう。

 

懇親会でセクハラ=読売記者、処分へ―富山


 読売新聞グループ本社は23日、富山支局の男性記者(32)が、報道各社の懇親会で、酒に酔って他社の女性記者にセクハラをしたと発表した。懲戒処分とし、支局長の監督責任も問う方針としている。

 同社によると、男性記者は今月1日夜、富山市内で開かれた懇親会で、女性記者に性的な発言をしたり、体に触ったりした。制止されても繰り返したという。

 読売新聞グループ本社広報部の話 被害に遭われた方、関係者の皆さまに深くおわびします。今後、再発防止に努めてまいります。 

 


【ブログ主のコメント】

ブログ主が、知り合いの女性記者(社名は伏せる)に取材したところ、加害者である読売新聞男性記者の素性が判明した。

 

この男性記者は、法政大学社会学部出身で、2008年に読売新聞東京本社に内定。振り出しは富山支局で、一旦東京本社の花形部署に栄転したものの、すぐに再び初任地に送還されてしまったようだ。法政大学の自主マスコミ講座(自主マス)のOBで、同講座の案内冊子に、ガッツポーズの写真と、「君が周りに刺激を与えてやれ!!」というコメントが掲載されている。

 

この読売記者は、業界内で名うての女好き、セクハラ大魔王だったらしく、同業他社の女性記者を「食い」まくり、さらには、取材先の自治体の若手女性職員にも「お手つき」を繰り返していたようだ。(ただし、モテるタイプなので、強引に手を出すことなく、基本的には合意の上でコトに至っていたようだ。)
ともあれ、酒が入るとセクハラ発言・セクハラ行為ばかりで、そのうちスキャンダルになるだろうとマスコミ界隈で噂になっていたらしい。

 

ところで、引用した時事通信の記事には、「報道各社の懇親会」「富山市内で開かれた懇親会」とだけ記載されており、具体性が乏しいが、他社の記事によれば、記者だけの懇親会ではなかったようだ。


共同通信の記事には、「報道各社の記者らとの懇親会」「懇親会は富山市内の飲食店で1日夜、複数の報道機関の記者らが参加して開かれた」とある。

出ました!マスコミ得意の「ら」弁。静岡弁の「だら」、東北弁の「ずら」と同様、マスコミが多用する業界方言の「ら」。標準語では「など」であるが、その詳細をボカしたときに用いられる。


要するに、記者だけではなく、記者以外の参加者も同席していたことが確認できるが、その人たちの具体的な属性は明らかにしたくない、という意図がうかがえる。


さらに検索を進めると、朝日新聞の記事には、「懇親会には報道各社や富山県職員計約10人が出席」と明記されている。なるほど、合点がいった。記者仲間と県庁の若手女性記者と一緒に合コンでもやっていたのだろう。

 

ちなみに、本件と同様に、読売新聞の記者が同業他社の女性記者にチョッカイを出したケースとしては、本ブログの記事女性記者セクハラ被害事件簿 第5号で取り上げた1999年のケースも存在する。このケースでの加害記者と、今回の記者への同社処分の内容を比較することで、セクハラを巡る社会的認識の硬化が見て取れる。

 

それにしても、本件は、読売新聞グループ本社の正式発表に基づき、報道各社が記事を配信しているが、当事者である読売新聞のサイトには本件は全く取り上げられておらず、また、本件について報道各社に発表したプレスリリースについても、同社のホームページで確認することができないのは残念だ。

 

 

【ブログ内の関連記事】

・セクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業

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・女性記者セクハラ被害事件簿 第1号から第10号までの概要

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/08/194300

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第11号から第20号までの概要

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/20/204300

 

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第20号(SKE48須田亜香里も言及して話題となった事例)

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/19/120000

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第16号  

 高校野球強豪、常葉菊川の監督と選手が起こしたセクハラ事件

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/14/200200

 

・女性記者不倫事件簿 第1号から第10号までの概要

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/06/03/194500

 

 

女性記者セクハラ被害事件簿 第25号(鹿児島県警警視、共同通信記者などにセクハラ発言の巻)

久々に、女性記者へのセクハラ事案を紹介する。


3ヶ月ほど前に報道された、やや古い事案であるが、この後、別件事案を紹介するのに先立って、記録として留めておこう。

 

鹿児島県警の50代の男性警視が、同僚(女性警察職員)や取材中の女性記者に対しセクハラ発言をしたことが発覚し、懲戒処分された事案である。


朝日新聞が、2018年12月26日にネット配信した記事を引用しよう。

 

女性記者らにセクハラ、50代警視を減給 鹿児島県警


 20~30代の複数の女性に対し、セクハラやパワハラ行為をしたとして、鹿児島県警は26日付で、県警本部に所属する50代の男性警視を減給3カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。セクハラの被害者には県警職員3人のほか、共同通信社の記者1人が含まれていた。

 県警は計4人のセクハラ被害者のうち、1人について身分を公表しなかったが、共同通信社が同日、鹿児島支局の20代の女性記者に対するセクハラ発言があったとして、県警に抗議したことを明らかにした。

 共同通信社によれば、処分された警視は11月9日、所属していた警察署内で取材中の女性記者に対し、セクハラ発言をしたという。発言内容については、公表していない。

 県警監察課の発表では、警視は2016年3月ごろ~今年11月ごろ、おもに業務中に女性警察職員3人ら知人女性に対してセクハラ発言をし、同年5月ごろ、別の女性警察職員1人にパワハラ発言をしたとされる。

 警視は「世間話で場を和ませようとした。認識が甘かった」と話しているという。職員以外のセクハラ被害者の身分を公表しない点について、「本人の意向で氏名の特定につながる」としている。

 警視は同日付で、警務課付の異動が発令された上、本人の申し出により警部補に降格されたという。

 共同通信社は「ハラスメントは人権侵害で記者の正当な取材活動を妨げ、萎縮させる行為であり極めて遺憾。本日の発表に際し、県警にあらためて再発防止の徹底を文書で申し入れた」とのコメントを発表した。(井東礁)

 
【ブログ主のコメント】

ブログ主は、昨年の5月に、連載企画として、女性記者が被害者となった過去のセクハラ事案を20件紹介した。


この20件のうち、警察関係者が加害者であったケースとしては、

女性記者セクハラ被害事件簿第1号秋田県警本部長、

第2号広島県警署長、

第3号石川県警巡査部長、

第6号北海道警察署長、

第8号高知県警巡査長、

第10号大阪府警副署長、

第11号京都府警警備3課長、

第13号長崎県警捜査2課長、

第17号で警視庁広報課の警部、

第19号で神奈川県警副署長(警視)、
が加害に及んだ10件がヒットし、実に全体の半数が警察関係者によるセクハラであった。(各号数をクリックすると、各記事に飛べるようにリンクを張っている)


いい年をコイたお巡り中堅幹部が、自分の年齢の半分以下、あるいは自分の娘と同年代か、自分の娘よりもさらに年下の、うら若き20代の女性記者にチョッカイを出してしまう構造的背景事情については、過去の記事で繰り返し考察してきた。

 

今回の警視は、「世間話で場を和ませようとした」と弁明しているが、おそらく、特段悪気なく、女性を見たらシモネタを言いたくなるタイプのオヤジだったのだろう。

 

かつては、軽いジョークで済まされたシモネタ談義が、現在では、軽いジョークで済ますことができなくなった事実について、世のオヤジ達の認識は希薄なので、きっと同様の事例は今後も繰り返されるに違いない。

 

 

【本ブログ内の関連記事】

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・女性記者セクハラ被害事件簿 第16号  

 高校野球強豪、常葉菊川の監督と選手が起こしたセクハラ事件

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/14/200200

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第6号

 加害者が自殺した二重に悲劇の事例①

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/03/173500

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第14号 

 加害者が自殺した二重に悲劇の事例②

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/12/203300