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女性記者セクハラ被害事件簿 第33号(細田衆議院議長の事案と政治部女性記者ホステス論)

【加害者】細田博之衆議院議長(78歳)

 

【被害者】政治部女性記者

 

【事案の概要】

週刊文春が2022年5月19日発売の5月26日号で、細田博之衆院議長による女性記者へのセクハラ事案を報じた。細田議長といえば、自民党の幹事長、内閣官房長官を歴任し、最近まで自民最大派閥細田派(現安部派)の領袖を務めていた大物政治家である。記事では、深夜に「今から来ないか?」と電話で誘われ、実際自宅に足を運んだ女性記者の証言などが取り上げられていた。

 

この記事に対し、細田議員事務所から週刊文春編集部に、「全くの事実無根であり、強く抗議します」と記された通知書が5月23日にファックスされた。

 

抗議の意見書を受け取った編集部では、嬉々として反撃に出る。5月26日発売の6月2日号で、<「うちに来て」細田衆院議長の嘘を暴く「セクハラ記録」>と題する特集記事において、女性記者による告発に加え、お尻をさわられたという党女性職員の事例や、抱きしめたいと言われたカードゲーム仲間である既婚女性の告白などを紹介し、大々的に紙面展開したのであった。

 

岸田文雄政権への攻め手を欠き支持率低迷にあえぐ野党は、ここぞとばかり追及の照準に定め、衆議院予算委員会において岸田総理に対し、「第三者による事実確認の調査を指示すべきではないか」(立憲民主党城井崇氏)、「ぜひ総理、細田議長からきちんとその場で事実関係を説明していただくよう指導・指示をしていただきたい。」(立憲民主党 大串博志)と揺さぶりをかけている。

 

【ブログ主のコメント】

今回の事案では、国権の最高機関の長たる細田衆議院議長が、昭和の香りに満ちあふれた色ぼけジジイぶりを見事に発揮し、年甲斐もなく、絵文字満載のイヤらしいメールを女性記者に送りつけていたことがネタとして面白いポイントだ。おそらく近日中に、細田氏は議長辞任に追い込まれるに違いない。

 

一方、ブログ主は、本件は政争の具にするような話題ではないと冷めて事態を観察しているのでありまする。野党の単なるパフォーマンスとはいえ、総理大臣に対し、衆議院議長への調査や「指導・指示」を求める立憲民主党の議員は、はっきり言ってイカれているとしか言いようがない。いつから、衆議院は政府の下位機関になったのだろうか。衆議院議長の行いに対し政府の介入を求めることは、立法府の自殺行為であるというコトの重大性を全く理解していない議員どもは救いようのないアホとしか言いようがない。

 

さておき、4年前の本ブログの初記事「セクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業」において、女性記者にセクハラや不倫が頻発する構造について解説した。入社間もない20代の若手記者は、OJTとして地方に出向し警察取材からキャリアをスタートするが、その際に、女性記者が警察官からセクハラ被害を受けるのが、典型的パターンのひとつである。もう一つは、地方勤務を終え東京本社にあがり、経済部、社会部、文化部など各部に配属されたおおむね30代の女性記者が、取材先である各界のビッグネームからセクハラ被害を受けるというのがお決まりのパターンである。

 

政治部女性記者も例外ではない。それどころか、マスコミの報道各部の中で、最もセクハラまみれなのが、政治部女性記者だといっても過言ではないだろう。社会通念的には到底考えられないような時間帯に、大物政治家や高級官僚から、飲みの誘いを受けるのは、政治部女性記者にとって日常茶飯である。

 

いや、大物政治家や高級官僚から、飲みの誘いを受け、その誘いを断っているようでは政治部記者なんて務まらない。多少のセクハラなんぞモノともせず、むしろ、体を張るというか女の武器を活かして政治家や官僚に食い込み、独自情報をゲットすることに醍醐味を感じる女性記者こそが政治部を志願するものである。

 

政治部の側も、自社の若手記者を政治部にハンティングする際には、こいつは政治家や官僚のフトコロに飛び込んで、ネタを取ることができるか、というただこの1点で、人物評価を行っており、そもそも、セクハラやジェンダー問題に関心を持つような「面倒くさい」女性記者が政治部に採用(配属)されることはない。

 

ブログ主にも政治部女性記者の知り合いが何人かいるが、彼女たちが語る話題といえば、自分はいかに大物政治家に食い込んでいるか、という自慢話が大半である。「一見真面目な××大臣から飲みに誘われたんだけど、☆☆いう性癖をもっているようで面白かった」「最近、毎週土曜日の昼は、いつも△△総理秘書官とふたりランチに誘われている。とりとめもない雑談ばかりで大したネタはもらえないんだけどね」

 

さらには、女性記者の口からは、いかに自分が、政治家から信頼されているかというエピソードが止め処もなく語られる。懇意にしている政治家が、総理から大臣就任の電話連絡を受けたことを、ご婦人よりも先にまず自分が一報を受けただの、担当している重鎮から、党の人事について自分に意見を聞いてくることがあるだの、番している政治家のプライベートのことで諸々相談に乗ってあげており彼の弱みを握っているだの…。

 

そしてもう1つ、政治部女性記者が口にする定番の話題は、同僚への妬みである。「人事異動で自分は□□幹事長の番になったのに、いつも同僚の○○がネタをかっぱらっていくんだよね」。どうやら前任の女性記者○○は、□□幹事長との関係がかなり濃密で、人事異動後も新担当の女性記者には情報を提供せず、お気に入りの○○記者ばかりに情報を流していることへのヒガミ・ヤッカミである。

 

権力闘争や日々の激務とストレスで疲れ果て憔悴した政治家や官僚を飲食しながら癒やし、その対価として独自情報の提供を受ける、という役割だけをもっぱら期待され、そしてターゲットの男性を巡って同僚間で「女の争い」が絶えない政治部女性記者ってのは、まさしくホステスのような存在なのだ。(といいつつ、本物のホステスは、客の秘密を安易に口にしないが、担当する政治家との親密さを饒舌に語る政治部女性記者たちは至って凡庸であり、「ホステスのような存在」という表現は本物のホステスに対し失礼極まりないことかも知れない)

 

ともあれ、担当している政治家や官僚からご指名(呼び出し)があったら、24時間365日、いつでもどこにでも駆けつけ、ご機嫌取りができるようスタンバイできていなければ、政治部女性記者としては失格である。雨の日でも嵐の日でも、また、風呂上りでも就寝後であっても、政治家などから誘いがあれば、直ちに身支度して参上するのが彼女たちの責務なのだ。

 

日中、議員会館を駆けずり回って、政局・政策の両面で独材を入手するのに長けている「優秀な」ママさん政治部女性記者が、夜間休日に身動きがとれないということで戦力外通告され、ポイ捨てされた(退職に追い込まれた)という事例は枚挙にいとまない。妊娠期間中の身重な状態で、日々深夜まで政治家との宴席に顔を出し、体調の不調を感じながらも作り笑顔で接遇していた女性記者が、出産後には使い捨てられ、お払い箱になるのが日本社会の現実である。

 

かような政治部取材現場の内実を知っていると、今回の細田衆議院議長を巡るスキャンダルは、まことにくだらない暇ネタと思えてならない。断っておくが、ブログ主は、政治部女性記者のおかれた状況を決して肯定している訳ではない。けれども、一人の色ボケじじいをイジめたところで、何ら女性記者のおかれた現状の改善につながるわけではなく、一過性の衆愚うけねらいの不毛なコンテンツとして馬鹿馬鹿しく冷めて傍観しているのだ。

 

最後に1点余談を付記する。読売新聞2022年5月24日の記事からの引用である。

 

細田衆院議長のセクハラ疑惑、公明・山口代表「説明責任を尽くしていただきたい」

 公明党の山口代表は24日の記者会見で、週刊文春で女性記者へのセクハラ疑惑が報じられた細田衆院議長に関し、「疑問や疑惑が投げかけられたのであれば、ご自身が丁寧に説明責任を尽くしていただきたい」と述べた。また、「議長は議会の要だ。それにふさわしい言動を期待したい」とも語った。

 

この記事を見て、20年前の公明党・神崎武法代表(当時)のセクハラ事案のことを思い出し、思わず吹き出してしまった。当時、神崎氏は、説明責任を尽くしていたとは思えないが、山口代表は、20年前の神崎代表の事案は存じ上げていないのでしょうかね。

 

【本ブログ内の関連記事】

・セクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業
 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/04/23/012930

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第9号
 公明党神崎代表(当時)がテレビ局女性記者を執拗に食事に誘い…

 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/06/111700

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第1号から第10号までの概要
 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/08/194300

 

・女性記者セクハラ被害事件簿 第11号から第20号までの概要
 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/20/204300


・女性記者不倫事件簿 第1号から第10号までの概要
 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/06/03/194500


・女性記者セクハラ被害事件簿 第6号
 加害者が自殺した二重に悲劇の事例①(北海道の事例)
 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/03/173500


・女性記者セクハラ被害事件簿 第14号 
 加害者が自殺した二重に悲劇の事例②(長崎の事例)
 https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/12/203300