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女性記者セクハラ被害事件簿 第32号(読売新聞記者が週刊誌女性記者にセクハラ)

【加害者】読売新聞社会部男性記者(当時32歳)

 

【被害者】週刊新潮の20代女性記者

 

【事案の概要】 

 2021年8月27日付読売新聞の社会面に、<本紙記者が情報漏えい 週刊誌女性記者らに>と題する社内不祥事の記事が掲載された。概要は、東京本社社会部の記者A氏(32)が、昨年夏から秋にかけて、検事総長秘書官のセクハラ疑惑や女子大学生殺害事件の取材情報を週刊誌女性記者に渡していたというもの。A記者は女性記者に、「不適切な関係を迫っていた」とある。


このA記者は、神奈川の名門私立高から慶応大を経て入社。初任地の山形支局時代からP担(検察担当)希望をアピールし続け、念願叶って東京本社の社会部配属でP担となった。山形時代に地元の局アナと結婚し、順風満帆のエリートコースに乗っていたらしいが、記者としての能力や人間性はいわく付きだったようだ。

 

週刊文春からの取材に対し、読売新聞関係者がこう語っている。「「P担への憧ればかりが強く、取材力がなかった。目立ったのはセクハラだけ。他社の記者との飲み会でも、女性記者からAの同僚に『あいつ触ってくるんだけど!』とクレームが寄せられたこともあった。」

 

女性記者との数々の不適切な関係や、情報漏洩が上層部の知るところとなり、2021年春にはP担を外され、『読売中高生新聞』編集部に左遷されたのであった。

 

読売新聞社としては、記者の異動によって一件落着を図ったが、結果として、冒頭にあるように、数か月後の8月に突如として自社媒体で記事にすることになった。同業他社の不祥事は嬉々として取り上げるものの、自社の不祥事案件には隠蔽体質の読売新聞が、本件をこのタイミングで取り上げたのには理由があった。

 

実は、経済誌『ZAITEN』が8月中旬に読売に取材をかけ、読売は『調査中』とだけ回答したが、雑誌の販売日(9月1日)の直前に、本誌発売に先んじて社内の不祥事を自ら発表した体裁をとったというのが背景事情のようだ。

 

そして、週刊新潮の20代女性記者との関係については、週刊文春2021年9月9日号の記事を引用する。

 

「『週刊新潮』の20代女性記者Bさんが、昨年夏に張り込み現場でたまたま一緒になった。うまく協力し合えたことから、後日飲みに行こう!となったそうです」(Bさんの知人)

 

 若手のBさんにとって、天下の読売のP担は貴重な人脈に映ったに違いない。

 

「飲みの席では『添い寝して』とセクハラ全開。別の寒い日には『あっためてあげる』と素面で抱きついてきたり、堂々とキスを迫ってきたりとエスカレート。Bさんは『ネタ元じゃなきゃ二度と会いたくない』と漏らしていました」(同前)


 A記者はその“優越的地位”を維持するため、取材情報を次々とBさんに。その情報が、「週刊新潮」(昨年9月24日号)で、〈「検事総長」就任祝宴で「セクハラ事件」〉との記事になった。

 

「渡した取材メモは読売のP担の間で共有されているものでAが独力で調べたものではない。なかに1カ所事実関係の誤りがあり、それをそのまま載せていたことで、読売社内で、うちのメモに違いないと話題になった」(別の読売関係者)

 

【事案の顛末】
読売新聞社としては、本件を穏便に収めたかったのであろうが、ZAITENはスプープ潰しに激怒し、更には週刊文春の参戦を招き、傷口は拡大するばかり。結局、読売新聞社では情報漏洩を理由に、9月30日付けで、男性記者を懲戒解雇処分にしたようだ。

 

この経緯を紹介した朝日新聞の記事を転記しておく。

 

読売新聞記者を懲戒解雇 週刊誌の記者らに計11回の情報漏洩(朝日新聞
2021年9月30日 21時36分


 週刊誌の記者ら3人に取材で得た情報を漏らしたとして、読売新聞グループ本社は9月30日、元東京本社社会部の男性記者(32)=人事部付=を懲戒解雇処分にすると発表した。前社会部長を出勤停止10日間、編集局総務を譴責(けんせき)の懲戒処分とする。


 広報部によると、司法記者クラブに所属していた元記者は昨年8~12月、検察庁内部のセクハラ疑惑を巡って、取材で得た情報を週刊誌の女性記者に漏らしたほか、別の殺人事件に関する発表資料をSNSで送った。また、テレビ局の女性記者や写真週刊誌の男性記者にも事件の情報を伝えていた。情報の漏洩(ろうえい)は3人に対して計11回に及んだという。


 元記者は、週刊誌の女性記者と少なくとも7回飲食し、不適切な関係を迫ったこともあったという。調査に対し、「『深い仲になりたい』という下心があった」と説明した。このほか、週刊誌の女性記者や家族との私的な飲食費2回分(約3万4千円)や、タクシー代23回分(約8万4千円)を不正に経費申請して使用したとして、全額返還させる方針だという。

 

 

【ブログ主のコメント】

本件主人公であるの読売男性記者が懲戒解雇された直接の理由はセクハラでは無く、情報漏洩である。ただ、その背後には、大手新聞/男性記者と週刊誌/女性記者という構造的な問題が横たわっているという点で、興味深い事案である。

 

これまで本ブログで数々の事案を紹介してきたが、新聞・テレビをはじめとするマスコミの女性記者は、警察官や政治家・官僚などの取材先との情報格差などに起因する権力勾配の存在により、日常的にセクハラ被害を受けやすい構造の渦中におかれている。

 

同様に、力関係の格差は、記者クラブ制度により守られた新聞・テレビ局の記者と、週刊誌やフリーの記者との間にも存在する。新聞・テレビ局の記者は、警察署や県警本部、官邸、国会、党本部、各省庁などの記者クラブに常駐し、排他的に警察幹部や政治家、官僚に接触し、情報を寡占する権限を有している。

 

一方で、週刊誌記者やフリーの記者は、警察幹部や政治家、官僚へのアクセスのハードルは高く、地を這うように苦労して日々情報を収集している状況にある。このような週刊誌記者にとって、記者クラブに常駐する新聞記者が内々に収集している情報は、喉から手がでるくらい魅力的なものに違いない。

 

このような構図の中で、30代・40代の男性新聞記者と、20代の女性週刊誌記者が知り合うと、どのような事態が生じるかは言わずもがなである。

 

近年、新聞各社では、売り上げ部数の減少が止まらず、経営状況が深刻化しつつあるが、これと連動して劣化が著しいのが、記者の質である。もちろん学歴(知的能力)だけで人を評価するのは適切ではないものの、えてして、入社する記者の学歴低下と比例するかのように、人格的にもヤバい若手が各社とも増えているという。

 

今回、セクハラ事件を起こし、情報漏洩でクビになった元読売の記者は、このような今どきのヤバい若手記者の典型例であり、読売としては、早々とトカゲの尻尾切りで排除したかったのであろうが、この手の劣化した記者が増大している現状に照らせば、くだんの記者をクビにしたところで、早晩、類似の事例が発生するに違いない。

 

【本ブログ内の関連記事】

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 加害者が自殺した二重に悲劇の事例②(長崎の事例)
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