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女性記者不倫事件簿 第3号(全国知事会会長、上田清司埼玉県知事のケース)

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昨日取り上げた東国原氏は元々女癖が悪く、彼が不倫騒動を起こしても「奴ならやりかねない」と誰も決して意外に思わないので話題性は高くないが、今回は、実直でクリーンなイメージをウリにしてきた知事と、週刊誌女性記者との不倫関係を取り上げる。

 

【男】埼玉県知事 上田清司(59歳)(年齢は当時)

 

【女】週刊誌の専属女性記者(40代)

 

【明るみに出たきっかけ】

週刊文春』2007年6月28日号で報じられた

 

【事案の概要】

2003年8月、土屋義彦前知事の辞任に伴う埼玉県知事選に立候補して当選した上田清司氏は、第1期の頃は清新なイメージの「改革派」として名が通っており、2007年8月の知事選で再選を目指していた。

 

そんな上田知事にとって、選挙妨害の悪夢となったのが、『週刊文春』2007年6月28日号の「上田清司埼玉県知事を襲った「トンデモ不倫騒動」」という記事である。

 

上田知事のお相手と報じられたA子は40代で、過去いくつかの新聞や雑誌で活躍し、当時は某週刊誌の専属記者として、芸能などを中心に取材していた。A子に電話取材した時のやりとりが『週刊文春』に載っているので、転載する。

 -そもそも上田氏と付き合い始めたきっかけは?

 

「知り合ったのは2003年春。取材ではなくて、ある会合でした。その後何回か顔を合わす機会があって、お互いを認識し始めた頃、向こうから誘われました。私は当時同棲していた彼氏と別れたばかりだった。最初のデートで彼の知り合いがやっているお芝居を見てご飯を食べに行きました。

彼は庶民的でB級グルメなんです。変わった居酒屋とかお好み焼き屋といった浅草系が大好きなんです。

その後、私の家に来たとき、ピロートークで『埼玉県知事選に出てみようと思う。知事になったら会いにくくなっちゃうね』と言ってました。知事になってからは、二人で会うときは少し気にしている感じでした」

 

知事主任後、上田氏との密会場所はA子さん宅が多かったという。

 

「都内にある私の自宅は埼玉に近いから、週に1回、少なくとも2週に1回は会ってました。会合が終わった後の午後9時頃から会うことが多かった。いつも家にいるのは9時から深夜までの時間帯でした。平日も土日も会いました。本当に忙しかったから、忙しい時間を縫って来てくれていたと思います。

 

クリスマスにはワインを持って来てくれて、家で二人で飲みました。誕生日には『買いに行けないから、これで好きな物を買いなさい』と商品券をもらいました。それで買ったネックレスを、今でも大事に大事に使っています。ホワイトゴールドの3連になっている小さなもので、値段は3万円でした。もらった商品券はもっと高額だったと思います。たまに『何か好きなものを買いなさい』といわれて、商品券やお小遣いをもらい、それで服や大型テレビを買いました」

 

-上田氏既婚者だったが、辛くなかったのか?

 

「私には常に上田先生の家庭に申し訳ないという気持ちがあったし、上田先生も『埼玉県民に対して申し訳ない』とおっしゃっていました。でも、私たちは立場も何も考えないで、とにかく会って愛し合うことしか考えていなかった。私のほうが先生をものすごく好きになってしまったから、私の方にも責任があるし、先生は責められないと思います。お互いに罪悪感で苦しんで苦しんで、2年後に別れたということです。」

 

 A子さんの話を聞いた翌日、式典が拓かれた埼玉県内の養護施設の玄関から出てきた上田氏を『週刊文春』の記者が直撃インタビューした。

 

-A子さんとはどのような関係ですか?

 

「……A子さんのこと?」

 一瞬、上田氏は絶句して立ち止まり、2、3秒ほど空を見上げて何やら考え込んでいる。上田氏の秘書と思われる人物が取材を制そうとしたが、「上田氏の個人的な件なので」と説明すると、上田氏は次のようなことを一言残して車に乗り込んだ。

 

「ちょっと予定がありますから、私から連絡します」

 

後ほど、上田氏が『週刊文春』記者の携帯に、非通知で連絡してきた。

 

上田清司です。お世話になります。用事があったものですみませんでした」

改めてA子さんとの関係を聞いた。

 

-A子さんと不倫関係にありましたね?

 

「A子さんとは3年ほど会っていません。選挙が近くなるとそういった話が出てきますね。そんな話だったら取材は結構です。そういう話は勘弁してください」

 

-A子さんから話を聞きましたが?

「A子さんが何と言おうと、そういうわけのわからない話は結構です。悪いですけど失礼します」

そう言うと、上田氏は一方的に電話を切った。

 

 【ブログ主のコメント】

上田知事と特別な関係にあった週刊誌記者のAは、当時、精神疾患を患っていたこともあり、他の報道機関は本件を全く後追い報道しなかったようである。このため、本件が逆風になることはなく、上田氏は2か月後の2007年8月、難なく2選を果たした。

 

女性記者が取材対象の男性と陥る不倫関係が、ごくごく普通の男女の不倫と違って特に注目を集めやすいのは、女性記者が女の武器を使って相手から内密情報を引き出す「枕取材」「ハニートラップ」に男性側が引っかかったのではないか、と疑いの眼差しが向けられるからである。とりわけ、不倫相手の男性が外交官や警察幹部、高級官僚、大物政治家、大物財界人などであれば、脚光をあびやすい。

 

その点、今回の上田知事と週刊誌記者Aの関係について言えば、ごくごく普通の男女のありふれた色恋沙汰と何ら変わるものではないようで、「枕取材」「ハニートラップ」としての側面はそれほど感じられない。週刊文春の記事でも、このような指摘はなされていない。

 

おそらく、上田知事としては、ちょっとしたお遊びのつもりで女性記者にちょっかいを出したところ、相手の女性記者が上田氏に本気で傾倒してしまい、抜け出せなくなってしまったということだろう。

 

県知事といえば、県内では絶大な権力・行政権限を持つ一国一城の主であるが、知事と女性記者との不適切な関係が「枕取材」やら「ハニートラップ」だと批判されにくいということは、県知事は必ずしも機密性が高い情報を扱う重たい仕事ではないとは見なされていることを意味し、政治学的にも興味深いことである。

 

 ところで、本記事の冒頭で、上田知事のことを「実直でクリーンなイメージをウリにしてきた知事」と書いた。2003年の初出馬には、「多選自粛条例制定」を掲げて当選し、翌年には自身の任期を三期までと定めた多選自粛条例を制定。行財政改革にも積極的に取り組むなど第1期目には「改革派」としての姿勢を全面的に打ち出していた。

 

ところが、2期、3期と任期を重ねる中で、次第に独裁的政治運営の弊害が目立ち県議会でも批判にさらされてきたが、埼玉県民の知事選への関心が低く低投票率の中を無風で当選回数を重ね、2017年には、自身の初期の公約を破って再出馬し、4選を果たしている。

 

権力は長期化すると腐敗するのは必定である。米国の政治制度にも様々な欠陥があるが、大統領の任期を2期8年までと憲法で定め、この規定が長年遵守されてきたことが米国を民主主義国家のリーダーたらしめてきた正当性の根拠でもある。最高権力者が自己の権力を長期化させるため、ルールを変えることは民主主義の全否定である。ロシアしかり、中国しかり、安倍晋三しかり、上田知事しかり。

 

プーチン習近平と全く同じく、多選制限ルールを蹂躙した民主主義の破壊者である上田清司埼玉県知事であるが、2018年4月17日、全国35名の知事の推薦を得て、無投票で全国知事会の会長に就任している。

 

(参考)自らも多選の道を邁進しているのか、多選制限ルールを無視した民主主義の破壊者である上田清司埼玉県知事を支持した知事の面々はこちらを参照のこと。あらら、この中には、上田知事を推薦した直後に、自らの出会い系問題が発覚して退陣に追い込まれた新潟県米田知事も入っているではないか。

http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/20180411-02_suisen_kekka.pdf

 

 全国知事会は、47都道府県知事により構成され、タテマエとしては、「地方自治の擁護」すなわち、国から独立し、政府に対し住民の利益を守るという役割を持つ都道府県相互の連絡提携を維持・強化することを目的としているようだ。47都道府県知事が連携して中央政府国会議員と対峙し、地方分権の推進を目指す、というと聞こえがいいが、要は、中央から地方(知事)への権力奪取、権限移譲(委譲ではない)を目的とした利益団体である。

 

初当選当初、女性記者と不倫関係にあった上田知事ではあるが、女性記者との関係が「枕取材」「ハニートラップ」として騒がれなかったことは内心不満だったに違いない。県知事というのは、女性記者と不倫したところで、「枕取材」「ハニートラップ」として騒がれることのない程度の軽い職業に過ぎないのか、と。

 

どうやら、全国知事会会長として上田知事が目指す政策の方向性は、都道府県知事が女性記者と不倫した場合に、「枕取材」やら「ハニートラップ」だと社会的注目を集めるような、高度に機密性が高い情報を取扱い絶対権力者として君臨できる、そのような強権知事を目指して各都道府県知事が一致団結して中央政府と対決していきましょう、ということのようだ。

 

地方分権が痴呆分権、痴情分権とならないよう、地域住民の一層の監視の目が必要である。