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女性記者不倫事件簿 第4号(メガバンク頭取とテレ東女性記者のケース)

 

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【男】みずほコーポレート銀行の齋藤宏頭取(64歳)

 

【女】テレビ東京の女性記者(30代)

 

【明るみに出たきっかけ】

写真週刊誌『フライデー』2008年8月1日号がスクープ報道

 

【事案の概要】

日本経済の中枢、大手金融機関の本社ビルが林立する東京大手町。2008年7月8日の夕方、とあるメガバンクの地下駐車場から、黒塗りの高級車・センチュリーが姿を現した。

 

車は内掘通りに出ると、右手に皇居を望みながら大通りを日比谷方向へと進んだ。5分ほど走ると突然、路肩に停車した。夕闇の中、センチュリーはハザードランプを点滅させたまましばらく動かない。誰かを待っているようである。

 

約15分が経った。街角から一人の美女が現れ、車に向かて駆け寄ってきた。女性が後部座席に近づくと、運転手が降りてきて、うやうやしくドアを開ける。女性がそのまま乗り込むと、車はゆるやかに発進。オフィス街を抜けると、車は暮れなずむ麻布の街へと入っていった。

 

冒頭このような文章で始まる写真週刊誌『フライデー』2008年8月1日号(首都圏での発売日は7月18日)の「激震スクープ みずほコーポレート銀行 齋藤宏頭取 「テレビ東京美人記者と“愛欲”不倫 一部始終」と題する5ページにわたるスクープ記事では、黒塗り高級車の主と途中で乗り込んだ女性について紹介した上で、7枚の隠し撮り写真を交えながら、その日の麻布到着後の2人の足取りを詳細に実況中継している。

 

車の主は、みずほコーポレート銀行(以下、みずほCB)の齋藤宏頭取(肩書は当時。以下同じ)だ。1966年、東京大学経済学部を卒業、日本興業銀行に入行。常務まで上り詰め、2000年に「みずほホールディングス(興銀、第一勧業銀行、富士銀行が合併して設立、その後、みずほファイナンシャルグループの傘下となる)が誕生すると、同社の常務取締役に就任。2002年には、旧興銀を引き継いで発足したみずほCBの初代頭取に就任した大物バンカーだ。

 

齋藤頭取は経済界における影響力も絶大で、興銀時代に部下だった楽天三木谷浩史社長がTBS株の買収を巡ってTBS側と揉めた時、仲介に入り、その存在感を示したことは有名である。

 

そんな斎藤頭取の車に乗り込んだ女性は、頭取のご夫人ではなく、テレビ東京編集局に勤務する30代の女性記者Aである。A記者は1999年に入社後、ニュース取材部(当時)に配属され、国会などを担当した後、3~4年前に営業部に異動。2008年7月からは報道を担当する取材センターに所属し、日銀クラブなどで取材活動に当たっている一線記者だ。

 

二人は、麻布の繁華街にある寿司屋で1時間ほどテーブル席で会食した後、揃って店を出てきた。寿司屋から数m先で二人は歩きながら見つめ合ったかと思うと、その刹那、口づけを交わしたのである。齋藤頭取が、かすかに突き出した唇をA記者の顔に近づけると、A記者は躊躇なくその唇に自分のそれを重ねたのだ。その決定的瞬間を、フライデーのカメラが捕捉し、記事には2枚の写真が掲載されている。

 

その後二人は、タクシーを拾い、A記者の自宅方面に向かった。が、停車した先は、A記者の自宅から徒歩5分ほどのところにある別の賃貸マンションだった。先にA記者がタクシーを降りると、エントランスに入り、後を追って頭取がマンション内に消えた。二人が入って2時間半後の夜11時半過ぎ、斎藤頭取は一人でマンションから出てきて、通りでタクシーを拾うと、一人帰宅したのであった。

 

フライデー取材班が、この密会用マンションへの二人の入室を目撃したのは、この日だけではない。二人は週1回のペースでこのマンションで密会を重ねていたのだ。みずほファイナンシャルグループの株主総会が開かれた6月26日にも、二人は同マンションで逢瀬を楽しんでいたのである。

 

【本事案の問題の所在と顛末】

本件事案が発覚した時点では、2か月後に世界を奈落の底に追い込むことになる未曽有の金融危機リーマン・ショック)の発生を誰も知る由もなく、日本の経済界は全体としては小康状態にあった。しかし、過去の公的資金が投入されたみずほCBは、2008年3月期決算を巡って、頭取の責任問題も取り沙汰されるなど、経営状況は深刻であった。

 

フライデーの記事の中で、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏がこう説明する。

「みずほFGのサブプライムローン関連損失は深刻です。みずほCBの子会社であるみずほ証券は、3月期決算で4000億円以上の損切りを出しましたが、実はまだ未処理の金融証券が約1兆円も残っている。一度に損失処理すると、連結決算でみずほFGまで赤字になる恐れがあったからです。このサブプライムローン関連の証券化ビジネスは、みずほCBトップの齋藤頭取が音頭を取って始めたことです。しかし、彼は責任を取らなかった。彼は、頭取引退後も会長として残りたかったからでしょう。引責辞任の形だけは避けたかったのだと思います。」

 

それほどまでに経営トップにしがみついた齋藤頭取だが、実は、A記者の勤務先、テレビ東京の社外監査役も務めていたのである。つまり、社外役員を務める先の社員と不倫関係に陥いるという重大なコンプライアンス問題に波及しうる営みだったのだ。

 

金融関係者はもとより、大企業トップの前代未聞のハレンチ行為だっただけに、7月18日、フライデーの掲載誌が発売されるや、斎藤頭取の不倫騒動は世間一般からも反響を呼んだ。フライデーでは、翌週号の2008年8月8日号においても、「激震スクープ追及第2弾! 齋藤宏頭取「晩節不倫(路上キス&密会用マンションの逢瀬)と進退問題」の内幕」というタイトルで続編記事を3ページにわたって掲載している。

 

A記者は、7月から日銀クラブ担当になったばかりであったが、掲載号発売に先立って、配置換えを余儀なくされてしまったという。

テレビ東京関係者が言う。

「日銀クラブに置いておくわけにはいかず、夕方のニュース番組の内勤ディレクターに配置転換されました。さすがに公私混同はマズイですよ」

 

齋藤頭取はというと、掲載後販売前後も何ごともなかったかのように銀行に通っているという。

「通常、こういう不祥事が起きた場合は、緊急役員会が開かれ、進退問題が話し合われるものです。しかし、今回はそれがまったくない。“齋藤王国”と揶揄されるワンマン体制のみずほCB内では、役員会の開催すら提言できる人がいないのです」(みずほCB幹部)

 

みずほCBの中堅行員はこう話す。

「これまでも社内不倫が問題になり、子会社に飛ばされた支店長もいるんです。なのに、斎藤頭取が知らぬ存ぜぬの態度。行員の中では派閥争いを前面に出して、『どうせ、一勧(旧第一勧業銀行)の連中がリークしたんだろう」と噂し合う始末です。危機感がまったくない』

 

みずほグループは、母体となる興銀、富士銀、一勧の3銀行が合併してできた組織であり、この3つの旧銀行による微妙なバランスで成り立っている。もし、斎藤頭取が辞任となれば、このバランスが崩れてしまうことを首脳陣は恐れていたのだ。結局、「みっともない話であるが、プレイベーとなことであり、仕事上、問題があったわけではない」(みずほFGの前田社長)との判断により、お咎めすら受けることなく、斎藤氏は頭取としての任期を全うし、2009年にはみずほCB会長、2010年にはみずほFG特別顧問に就任したのであった。

 

【ブログ主のコメント】

本ブログの一番最初の記事であるセクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業において、ブログ主は、女性記者が陥る不倫関係について、3つの類型に分類して解説した。

 

 ① 仕事面、生活面などで悩み多き入社間もない20代の若手女性記者が、取材相手であるそこそこの社会的地位にある男性に悩みを打ちあけ親密になるうちに、体を許す関係に発展するパターン

 

 ② 記者として脂が乗った入社10~20年程度の女性記者が、社会的地位と名誉を築きあげた取材相手の巨星(各界のビックネーム)に憧れ、巨星としても愛嬢と同年代か愛嬢より若年であろう記者に情欲をかき立てられ人目を憚られる恋に発展するパターン

 

 ③ 新聞社やテレビ局の正規雇用記者と異なり、会社の後ろ盾のない契約あるいはフリーの女性記者が、女の武器を活用して取材相手に接近し、枕取材、ハニートラップをしかけるパターン

 

実際には、くっきりと3つに類型化できる訳ではないが、この類型分類は、女性記者が当事者となる不倫関係の特徴を端的に捉えていると考える。このうち、①は女性記者だけでなく、ごくごく普通の男女間のありふれた不倫関係成約パターンの典型例であるが、②と③は、女性記者に特徴的な不倫の様態である。

 

昨日までの女性記者不倫事件簿の3例の中では、第1号記事財務省主計官と週刊誌契約記者の関係は③の典型例だし、第2号記事の宮崎県知事とテレビ局記者の関係、あるいは第3号記事の埼玉県知事と週刊誌記者の関係は、①と②の中間形態と言えるだろう。それに対し、今回の第4号のみずほCB頭取とテレビ局記者の関係は②の典型例である。

 

大企業の社長が、自らの秘書や、料亭や高級クラブの女性と一線を越えた関係に陥った例は枚挙に暇がないが、今回の例のように、取材に来た女性記者と禁断の恋の関係に発展するケースも、表面化しないだけで高い頻度で発生していることであろう。

 

パターン①とパターン②とでは発覚した場合に、正反対の顛末を辿りがちなことも興味深い点である。前者の場合、女性は何らお咎め無しで男性側が不利益処分されることが多いのに対し、後者の場合は、今回の例のように、女性側が配置転換などの不利益を被り、巨星たる男性側は一切社会的去勢を受けることなく平然と乗り切るのが常なのである。

 

みずほCBの中堅行員が愚痴るように、支局長クラス以下の一般社員が婚外関係を持つと懲罰人事が待っているのに対し、最高責任者が不義を働いても知らぬ存ぜぬを押し通すような会社組織では、社員の社に対する忠誠心は著しく減退し、社会的信頼も損なわれ、組織が弱体化するのは不可避であろう。

 

【次回の予告】

次回、次々回は、若手女性記者と警察関係者の情事事情を紹介する。