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はしか(麻疹)流行騒ぎの愚かさ、馬鹿馬鹿しさ

 

【沖縄を中心とした、はしかの流行】

 沖縄県では3月20日に台湾から来ていた30代男性がはしかと診断された後、感染報告が相次いでおり、4月25日現在の患者数は計71人となったとのこと。また、愛知県では、沖縄に旅行していた10代男性がはしかと診断された後、26日現在、10名の患者が報告されている。沖縄県はリスクが高い0歳児やワクチン未接種の妊婦の来訪延期を勧めているらしく、実際、旅行客のキャンセルが相次いでいるようだ。GWを目前に控え、沖縄経済にとって深刻な打撃がとなることが予想される。

 

国立感染症研究所や日本小児科学会の権威筋は、異口同音に、「はしかはメチャクチャ怖い感染症だ」と主張しているし、今回のはしか流行について、テレビニュースでは、社会の存続を脅かす重大な感染症が発生したかのような報道のされ方である。このため、子どもを持つ保護者や学校関係者の間で、はしかへの恐怖が広がっているようだ。でも、冷静に考えようよ。数年前までは、はしか患者が発生したからと言って大騒ぎなることはなかったのであり、今回の報道ぶりは異常だ。

 

はっきり言おう。はしかは決して、メチャクチャ怖い感染症ではない。はしかが全く恐れるに足りない感染症である、と主張しているのではない。普通の風邪と比べると症状は重いし、時に命取りになるのも事実である。しかし、社会の存続を脅かすような疫病ではないし、患者がたかだか数名だか数十名だか報告されたぐらいでパニック騒ぎをするような病気ではない。

 

【医学界でのはしかの認識】

 市中の医師の中にも、「はしかがメチャクチャ怖い感染症では決してない。医学界や行政における恐怖のプロパガンダは行き過ぎだ」と正常な判断能力を有している常識人は存在するであろう。しかしながら、「はしかはメチャクチャ怖い感染症」であることが現代の医学界の最重要基本教理であり、これに異論を唱えると、邪悪な異教徒として磔刑に処せられてしまう(磔刑はジョークだが、医師界で糾弾され、村八分にされるのは必至である)。なので、教団本部が唱える「はしかはメチャクチャ怖い感染症」という教理に疑問を感じる真っ当な医師であっても、口を閉ざすしかない状況なのだ。

 

 さらに言えば、「はしかはメチャクチャ怖い感染症」ではないことは、誰よりも、国立感染症研究所や日本小児科学会の権威筋自身が熟知していることである。しかし、権威筋は、自らの権威を維持・強化するため、そして、麻疹ワクチンの販促のため、さらには、「不都合な真実」を隠蔽するため、「はしかはメチャクチャ怖い」と扇情的なプロパガンダを繰り返し、そして、「はしかがメチャクチャ怖い感染症では決してない」という正論に対しヒステリックに反論するのだ。

 

【はしかの症状はどの程度のものか】

 はしか(麻疹)についての厚生労働省ホームページの記載を見てみよう。

 

 麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。  麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。

 感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。  

 その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html

 

このホームページの記載は、国の公式見解として、新聞記事をはじめ様々なところで引用されている。基本的には医学的エビデンスに基づいた教科書的な記載であるが、気になるところを何点かコメントする。

 

まず、感染力について。はしかは、空気感染で人から人に感染し、「感染力は非常に強い」のは事実である。実際、麻疹ウイルスは、あらゆる病原体の中で最も感染力が高い病原体である。報道では、麻疹ウイルスの感染力の強さを、はしかの怖さの根拠として報じられがちである。しかし、感染力の強さと、感染した場合の重篤性は別問題であり、麻疹ウイルスの感染力の強さが、重篤性が高いことを意味するものではない。

 

次に、脳炎について。ホームページには、「患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。」と記載がある。脳炎の発症率については、文献上、0.05~0.1%とされており、厚生労働省の数字は最も上方の数字を採用したものであると考えられ、この記載自体は虚偽ではない。

 

問題は、その次の一文だ。「死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。」だって???ウソ抜かすな!!、って言いたい。その直前の文章で脳炎の発症率が0.1%とあるので、これを前提とすると、はしかで脳炎を発症すると全員が死亡することになる。そんなことあり得ない。絶対嘘八百だ。

 

はしかで脳炎を発症した場合の予後については、医療水準(治療のレベル)によって大きく異なるが、半数以上は基本的には後遺症なく完治する。文献的には、脳炎の発症者のうち、死亡するのは約15%、重い後遺症が残る患者が約15%、軽い後遺症が残る患者が約15%程度であるとされるが、現在の日本の一般的な医療水準を考慮すれば、予後はもっと良好であると考えられる。

 

さらに、はしかの怖さを強調したい人たちが、決まって持ち出すのが亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の存在だ。数年間寝たきり状態が続き、最終的に死に至る脳炎の一種であるが、厚生労働省自ら明記しているとおり、10万人に1人程度の非常に低い発症頻度に過ぎない。統計上は脳炎に包含されるので、恐怖を受け付けるために患者数をダブルカウントしていることになる。

 

ちなみに、はしかの合併症としては、脳炎以外にも、重症の肺炎を併発することがある。肺炎が原因で死亡することもあり得るが、それとて、医学水準に依るが、決して頻度が高いものではない。

 

【メチャクチャ怖い疫病と比べると、はしかなんぞは取るに足りない】

 はしかは命を落とす可能性があるという点では、確かに、はしかは怖い感染症である。でも、様々な感染症が存在する中で、発症した場合の重篤度がはしかよりも高い感染症はいくらでも存在する。感染症対策の法令である感染症法では、感染症が発生した場合の社会への影響や重篤性などの観点から、1類から5類まで、5つの類型に感染症が分類され、予防や対応策について規定されている。エボラ出血熱やら既に根絶した天然痘のような致死率が高くメチャクチャ怖い疫病は一類感染症、それに次ぐ高リスクのSARSや鳥インフルエンザのような感染症は二類感染症である。それに対して、はしかは、五類感染症という位置づけである。

(参考)http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000040509.pdf

 

もちろん、一類から五類の類型は、重篤性の高さだけで決まるものではなく、感染経路の違いや、感染・伝播力の強さ、希少な感染症を把握するサーベイランスの必要性などの観点も踏まえ政策決定されるものである。ただ、いずれにしても、はしかは、所詮、五類感染症であり、感染症法上の位置づけからしても、社会防衛という観点から特段配慮の必要の無い、「国民や医療関係者への情報提供が必要」な程度のありふれた感染症の1つに過ぎないのである。

 

それにしても不思議なのは、通常、重篤性が高い感染症が発生した場合、政府は、国民がパニックに陥らないよう、過度に恐れず冷静に対応すべしと啓発活動を行うものである。ところが、はしかだけは別である。上述のとおり、はしかは、五類のありふれた感染症に過ぎないのに、不思議なことに、1例でも患者が発生すれば、厚生労働省は、社会の存続を脅かす重大事態が発生したかのごとく厳戒態勢を取るよう呼びかけ、官製パニックの誘発に尽力するのである。

 

何故、このようなダブルスタンダードが生じるのか。その原因たる「不都合の真実」について、次回は報告する。

 

 

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