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女性記者不倫事件簿 第9号(ロサンゼルス市長の場合)

今回は、2007年に発覚した、米国ロサンゼルス市長とテレビ局の女性記者の不倫について取り上げる。

 

【男】米国ロサンゼルス市長Antonio Villaraigosa氏(54歳)(発覚時点)

 

【女】テレビ局の記者Mirthala Salinas氏(34歳)(同) 

 

【事案の概要】

 

ロサンゼルス市のAntonio Villaraigos(アントニオ・ビヤライゴーサ)市長は2007年6月8日、20年間連れ添った夫人(49歳)と離婚する意向を表明。スペイン語放送のテレビ局「Telemundo 52」では、これを報じるニュースの中で、Mirthala Salinas(ミルタラ・サリナス)記者が「(離婚のうわさは)本当でした。多くの人はあぜんとしています」などとコメント。

 

この時点では明かされていなかったが、その後、サリナス記者こそが交際相手だったと発覚。

 

7月初め、市長はメディアなどの追求に屈する形で、「職務に関係することとは思えないが」としつつ、同記者との不倫関係を認めた。サリナス記者も同時に、「仕事上のつきあいから関係が発展した」と、事実を認めるコメントを発表。

 

サリナス記者は、前年8月、上司に交際の事実を告げ、一旦は市政担当から外れていたが、市政担当時代には市長の出張にも同行していた。2005年には、市長が夜間に一人で同記者のアパートを訪ねる姿も目撃されており、交際は長期にわたっていた模様だ。

 

テレビ局は、7月5日付で記者を休職扱いとし、報道倫理上の問題がなかったか内部調査を行うこととした。結局、サリナス記者はリバーサイドに転勤を命ぜられ、後に退職した。

 

ビヤライゴーサ市長は2005年に初当選し、ロサンゼルス市の歴史上初のヒスパニック市長である。離婚、不倫騒動を乗り切って、2009年には再選し、2013年まで市長を務めた。市長時代には、学校教育、都市交通、公共安全などの分野で数々の成果を上げたと評価されており、2012年9月の2012年民主党全国大会において、ヒラリー・クリントン大統領選挙キャンペーンの全国共同議長も務めた大物政治家である。

 

ビヤライゴーサ氏は現在、カリフォルニア州知事選に出馬中であり、2018年6月5日に予備選挙が実施される。

 

 

【ブログ主のコメント】

ブログ連載の「女性記者不倫事件簿」であるが、国内の事例はネタが尽きたので、今回と次回は米国での事例を紹介する。

 

それにしても、洋の東西を問わず、似たような不倫が発生しますな。

 

わが国での類似事例としては、女性記者不倫事件簿の第2号で宮崎県知事宅へのテレビ局記者のお泊まり、第3号で埼玉県知事と週刊誌記者との不倫について取り扱ってきた。明るみに出ていないだけで、自治体首長(知事や市町村長)が女性記者と不適切な関係に陥る事例は少なからず発生していることは報道関係者などの間ではよく知られている。

 

筆者は、女性記者の不倫事案は、典型的には次の3類型あると説明してきた。

 

 ① 仕事面、生活面などで悩み多き入社間もない20代の若手女性記者が、取材相手であるそこそこの社会的地位にある男性に悩みを打ちあけ親密になるうちに、体を許す関係に発展するパターン

 

 ② 記者として脂が乗った入社10~20年程度の女性記者が、社会的地位と名誉を築きあげた取材相手の巨星(各界のビックネーム)に憧れ、巨星としても愛嬢と同年代か愛嬢より若年であろう記者に情欲をかき立てられ人目を憚られる恋に発展するパターン

 

③ 新聞社やテレビ局の正規雇用記者と異なり、会社の後ろ盾のない契約あるいはフリーの女性記者が、女の武器を活用して取材相手に接近し、枕取材、ハニートラップをしかけるパターン

 

今回のロサンゼルス市長とテレビ局記者の関係は、まさしくパターン②に該当するとみていいだろう。日米で不倫事情は大差ないようだ。

 

そして、第4号記事でも取り上げたが、パターン①とパターン②とでは発覚した場合に、正反対の顛末を辿りがちなことも特徴的である。前者の場合、女性は何らおとがめ無しで男性側が不利益処分されることが多いのに対し、後者の場合は、女性側が配置転換などの不利益を被り、巨星たる男性側は一切社会的去勢を受けることなく平然と乗り切る傾向にある。

 

今回のロサンゼルス市長とテレビ局記者のケースにおいても、女性記者は左遷の憂き目にあって退職を余儀なくさせられたのに対し、市長は悪びれることなく職に留まり続けることができたのであった。不倫の顛末についても、見事に日米共通なのでありまする。

 

【出典】

・『産経新聞』2007年7月8日朝刊

・『読売新聞』2007年7月20日朝刊

wikipedia

   Antonio Villaraigos

   California gubernatorial election, 2018