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日韓の国力を冷静に国際比較する(その2) 世界幸福度ランキング2019の結果から

 

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3月20日に公表された「世界幸福度ランキング2019」

 

 このたび、国連から、「世界幸福度報告2019」なるレポートが公表された。というと、誤解を招きやすいので正確に説明すると、国連の理事会なりで承認手続きを経た報告書ではなく、2012年に当時の国連事務総長であった潘基文氏とコロンビア大学ジェフリー・サックス教授が創設した国際的ネットワークである国連「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」の支援によって、同年から毎年作成している報告書である(2014年は未実施)。

 

すなわち、国連が組織として公的にオーソライズしたランキングではなく、国連ブランドのもとに参集した専門家によって取りまとめられているものであることに留意が必要である。


ともあれ、このランキングで、日韓がそれぞれ何位にランキングされているかを紹介する前に、世界幸福度ランキングの算定手法について簡単に説明しておこう。

 

このランキングの算定に当たっては、以下の7つの指標についての各国の分布の回帰式を求め、その上で各国の数値を、その合計値(ladder score)が0-10の間の値を取るよう調整して加算される。
人口当たりのGDP
健康寿命
社会的支援(「困ったときに助けてくれるものと信頼できる親類や友人がいますか?」という問いにyesと答えた人の割合)、
人生の選択の自由度(「あなた自身の人生における選択の自由について、満足ですか?」という問いにyesと答えた人の割合)、
寛大さ(「過去1カ月にいくら募金しましたか?」という問いを一人あたりGDPで調整した値)、
政治・社会的腐敗(「あなたの国の政府に汚職/腐敗が蔓延していますか?」「ビジネスに汚職/腐敗が蔓延していますか?」という問いにyesと答えた人の割合の平均値)
Dystopia + residual(最富裕層と最貧困層の所得比、つまり貧富の差を示す指標)

 

なお、①と②については客観的に算定される数値であるのに対し、③~⑥は、米国のギャラップ社が各国で実施した世論調査の結果が用いられている。

 

では、世界幸福度ランキング2019の結果を上位から順に列記してみよう。

1 フィンランド
2 デンマーク
3 ノールウェイ
4 アイスランド
5 オランダ
6 スイス
7 スウェーデン
8 ニュージーランド
9 カナダ 
10 オーストリア

 

ま、1位から10位までは、民主主義が成熟した北欧などの先進諸国が並んでおり、誰もが納得する順位ではなかろうか。では次。

11 オーストラリア
12 コスタリカ
13 イスラエル
14 ルクセンブルク
15 英国
16 アイルランド
17 ドイツ
18 ベルギー
19 米国
20 チェコ

 

11位から20位を見ると、コスタリカイスラエルチェコなどがランクインしているのは意外な印象を受ける。元データを詳細に見てみると、この3国とも、「③社会的支援」と「⑦Dystopia + residual」の項目について比較的評価が高く(社会的支援が行き届き、貧富の差が小さい)、とりわけ、コスタリカチェコは「④人生の選択の自由度」の項目の評価が比較的高く、イスラエルは「⑤寛大さ」の項目の評価が比較的高いことが、トータルで高位となった要因である。

 

イスラエル国民が、自国について「寛大さ(Generosity)」が高いと評価していることは意外であるが、ここで言う「寛大さ」とは日本語における一般的な意味での他民族や隣人への「寛大さ」を意味するものではなく、「過去1か月間に寄付した金額」が評価ポイントであることに留意が必要であろう。

 

続いて、21位以下を見てみよう。

21 アラブ連合
22 マルタ
23 メキシコ
24 フランス
25 台湾
26 チリ
27 グァテマラ
28 サウジアラビア
29 カタール
30 スペイン
31 パナマ
32 ブラジル
33 ウルグアイ
34 シンガポール
35 エルサルバドル
36 イタリア
37 バーレーン
38 スロバキア
39 トリニダード・トバゴ
40 ポーランド
41 ウズベキスタン
42 リトアニア
43 コロンビア
44 スロベニア
45 ニカラグア
46 コソボ
47 アルゼンチン
48 ローマニア
49 キプロス
50 エクアドル

 

あれあれ、本調査対象の156カ国のうち、上位50位までに、日韓とも登場しないではないか。

 

実は、このランキングで、韓国は54位、日本は58位である。日韓とも、「①人口当たりのGDP」「②健康寿命」「③社会的支援」の3項目は比較的高評価であるのに対し、「④人生の選択の自由度」「⑤寛大さ」「⑥政治・社会的腐敗」「⑦Dystopia + residual」の4項目が低評価であることに引きづられて、トータルでは50位以下にとどまる結果となったようだ。


とりわけ、韓国では「④人生の選択の自由度」と「⑥政治・社会的腐敗」の両項目、日本では「⑤寛大さ」と「⑦Dystopia + residual」の項目が極めて低評価であった。

 

ちなみに、過去7回の日本のランキングの推移は、
2012年 44位
2013年 43位
2015年 46位
2016年 53位
2017年 51位
2018年 54位
2019年 58位
である。

 

同様に、韓国の7年間の推移は、
2012年 56位
2013年 41位
2015年 47位
2016年 58位
2017年 55位
2018年 57位
2019年 54位
である。

 

この手の複数の指標を評価するランキングについては、用いる指標の意味合いが常に問題となる(果たして、世界幸福度ランキングの7つの指標を並列的に並べた数値が、各国の客観的な幸福度を意味するものか)し、異なる文化的背景・価値体系の国々を統一的尺度で評価することが妥当なのか、という根本的な疑問が呈されることもあるが、ともあれ、日韓の国際比較という本稿の趣旨からすれば、このランキングによれば、日韓両国は世界的には50~60位程度でドッコイドッコイの国だ、ということになる。

 

前回紹介したパスポートの「実力」では世界1位2位を競っている両国であるが、幸福度の国際比較では先進諸国の中で最下位位争いをしている実態を両国民は認識しておいたほうがいい。

 

一点だけ追記すると、20位以内にランキングされているコスタリカイスラエルチェコにおける各指標の値と、日韓の値を比較検討することによって、日韓両国における社会政策のあり方を考えるヒントが得られるのではないだろうか。

 

 

【出典】

WORLD HAPINESS REPORT 2019

http://worldhappiness.report/ed/2019/