syakai-no-mado

社会ノマド、社会の窓、流浪しながら漂泊する社会を見つめます

麻疹(はしか)は、所詮5類感染症に過ぎない …麻疹が怖いと煽るお医者さん、感染症法をきちんと勉強しようね ♪  

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Twitter上では、麻疹こわいというツイートがあふれているけど‥

 


ツイッター上では、医師国家資格保有を標榜する一部の人たちが、麻疹はこわい、などと恐怖を煽る主張を執拗に続けている。また、麻疹患者に係る自治体の報道発表資料をつぶさに引用し、いちいち、○○線が危ない、○○は危険、などと、危険地帯を設定し拡散している医師もいるようだ。はっきり言って、人権意識が希薄な無知蒙昧な輩だとしか言いようがない。

 

一つ断言できることがある。現在、ツイッター上で、麻疹は怖い、怖いと恐怖を煽る主張を執拗に続けている医師たちは、50年前に医療現場にいたら、ハンセン病が怖い怖いと恐怖を煽って隔離・断種政策推進の旗を最前列で振っていたに違いない。全く同じメンタリティーなのだ。

 

麻疹がこわい病気だとホザいている医師たちに聞いてやりたい。ぢゃあ、貴殿にとって、AIDSは怖い病気なのか、B型肝炎C型肝炎は怖い病気なのか。そして、もし、AIDSやB型肝炎C型肝炎が怖くないと明言するのであれば、怖くないこれらの病気と、怖いとホザいている麻疹との違いは何なのか、と。

 

ブログ主は、これまで5回にわたって、麻疹流行騒ぎが馬鹿馬鹿しいと繰り返してきたが、ツイッター上で指摘いただいたコメントへの回答も兼ね、今回の記事では、感染症法における麻疹の位置づけを再確認することとしましょう。

 

その前に、最初に断っておくが、ブログ主は決してワクチン反対派ではない。これまでも明言しているように、自分の子どもには麻疹ワクチンを接種している。ただただ、麻疹流行に対する自治体やメディア、医療関係者の反応が常軌を逸していると指摘したいに過ぎないので、ご了知いただきますよう。

 

あ、それから、「素人が何ヌカす」と、メクジラ立てる権威主義者は、ブログ主も、もしかして医籍番号の入った紙切れを一枚持っているかも知れない、という前提でこの記事読んでみてくださいね。

 

 

感染症法とは

俗に、感染症法、感染症予防法と呼ばれる正式名称「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」は1998年に制定されたものである。法律制定当初は、「感染症新法」と呼ばれることがあったが、何故、「新法」なのか、と言えば、従来存在した「伝染病予防法」「性病予防法」「エイズ予防法」の3つを統合して新設されたからである。

 

他の数多ある法律と比べて、この感染症法のユニークな点は、日本国憲法と同じように、前文が設けられていることである。通常、法律は、第1条に法の目的を規定し、第2条で基本理念を規定するのが常套だ。だけど、感染症法については、その理念や制定経緯が、第2条の基本理念では書ききれないため、わざわざ前文がおかれているのだ。感染症法の前文、第1条、第2条を引用する。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

(前文)
人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。

医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。

一方、我が国においては、過去にハンセン病後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。

このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。

ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。


(目的)
第一条 この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。

(基本理念)
第二条 感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、これらを目的とする施策に関する国際的動向を踏まえつつ、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とする。

 

 感染症は、時には文明を存亡の危機に追いやるものである一方で、社会が感染症の脅威を誇張・誤認したり、患者への差別・偏見、さらには特定の感染症に対する隔離政策など重大な人権侵害が行れてきた事実を国家として猛省し、患者の人権尊重をまずは大前提とし、様々な感染症についてそのリスクの大きさに応じて、最小限度の措置を講ずる比例原則の考え方を基本として制定されたのが、現在の感染症法である。

 

感染症法では、感染症蔓延防止のために行政が講じるべき措置として、次のような措置が規定されている。(カッコ内は法律の条番号)


①建物の立入制限・封鎖(32条)、

②交通の制限・遮断(33条)、

③患者からの検体採取等の強制(16条の3)、

④入院の強制(19条、26条)、

⑤健康診断受診の強制(17条)、

⑥就業制限(18条)、

⑦死体の移動制限等(30条)、

生活用水の使用制限等(31条)、

⑨汚染場所の消毒(27条)、

⑩ねずみ、昆虫等の駆除(28条)、

⑪所有物の移動制限、廃棄等(29条)


これらは、感染症の蔓延防止のため、立法権者が都道府県知事等に授権した措置であるが、憲法で定められた基本的人権(身体的自由権や財産権)の侵害に直結するものであり、行政による恣意的な運用が許されるものでなく、各措置が適用可能な対象疾患(感染症)が法律において明確に規定されている。また、法22条の2及び法34条においては、これらの措置について、「感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない」と明記されている。


それでは、各措置が適用可能な対象疾患を具体的に見てみよう。感染症法においては、病原体の感染力や罹患した場合の重篤性、感染経路の違い、サーベイランスの必要性などの観点を踏まえ、様々な感染症を1類感染症から5類感染症まで、大きく5つに分類している。(新型インフルエンザ等感染症や指定感染症、疑似症などの概念もあるが、議論が複雑になるので、ここでは省略する)

 

そして、1類から5類までの類型ごとに、都道府県知事が講じることができる措置の内容は異なっているのだ。1類感染症から5類感染症まで、順に見てみよう。


1類感染症

1類感染症としては、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ熱、痘瘡、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱の7疾患が規定されている。

 

これらはいずれも、致死性が高く、病原体の感染力も高く、患者が1例でも発生すれば、その1例の患者から社会全体に感染症が蔓延し、社会の存続を脅かしうるメチャクチャ怖い感染症である。

 

もしも国内で1類感染症が発生した場合には、蔓延防止のため都道府県知事には、上述の「①建物の立入制限・封鎖」から「⑪所有物の移動制限、廃棄等」まで全ての措置を講じることが認められている。

 

①から⑪までの措置のうち、「①建物の立入制限・封鎖」と「②交通の制限・遮断」の2つは、1類感染症のみに適用される措置である。これは、社会防衛のため、患者が所在する建物を丸ごと封鎖したり、汚染された地域全域を強制的に閉鎖するという、パニック映画にしばしば登場するような究極の強権措置である。

 

いずれにしても、感染症法は、1類感染症から社会を防衛するため、患者本人のみならず病原体に汚染した疑いのある人たちの身体的自由を拘束するような重大な人権侵害も許容しているのである。


2類感染症

2類感染症としては、急性灰白髄炎(ポリオ)、結核ジフテリア、SARS、MARS、特定鳥インフルエンザが規定されている。

 

2類感染症は、1類感染症ほどではないが、重篤性や病原体の感染力が高い感染症であり、①と②の措置の適用とはならないが、患者が発生して際には、③から⑪までの措置を講じることが認められている。

 

「③患者からの検体採取等の強制」「④入院の強制」「⑤健康診断受診の強制」については、患者の身体的自由権を侵害するものであるが、法令上は、ウムを言わさず無理やり強制するのではなく、まずは勧告を行い、本人が拒否る場合に、強制執行することになっている。


3類感染症

3類感染症としては、コレラ、細菌性赤痢腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、の5つの腸管感染症が該当し、⑤から⑪までが措置の対象となる。

 

コレラ赤痢、腸チフスなどは、かつてはメチャクチャ怖い病気の代表選手であったが、抗生剤の開発などにより致死性が下がったので、1類や2類のように、検体採取や入院を強制すべき感染症ではない。

 

ただし、3類感染症に感染した患者が、飲食店等で従事すれば、利用客に感染させる恐れがあることから、「⑤健康診断受診の強制」「⑥就業制限」の措置対象となっている。また、患者の糞尿を介して病原体が拡散しうるので、都道府県知事が必要と認めるときは、「⑦死体の移動制限等」「⑧生活用水の使用制限等」の措置対象となる。


4類感染症

1類から3類感染症以外で、主に動物等を介してヒトに感染する4類感染症は、ヒトからヒトには感染しないものが多いが、蔓延防止のため、必要に応じ、「⑨汚染場所の消毒)」「⑩ねずみ、昆虫等の駆除」「⑪所有物の移動制限、廃棄等」の3つの措置が適用対象となる感染症である。

 

具体的な疾患としては、E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病炭疽鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ以外)、ボツリヌス症、マラリア、野兎病の10疾患が法律に明記されるとともに、日本脳炎デング熱、レジオネラ症などが政令で定められている。

 

黄熱や狂犬病炭疽など、いかにも怖そうな病気もラインナップされているが、①から⑧までを適用してまで社会防衛すべき感染症ではない、という位置づけである。

 

5類感染症

最後に5類感染症であるが、これは、行政において発生動向調査を行い、国民や医療関係者に情報提供すべきとされる感染症である。ある程度は国民の健康に影響を与えるおそれがあるものの、社会においてありふれた感染症であり、患者の権利と蔓延防止の必要性を比較考量すれば、社会防衛の名のもとに、患者の身体的自由権や財産権を侵害することが一切許容されず、①から⑪までのいずれの措置の対象とはならないのが5類感染症である。

 

具体的疾患としては、インフルエンザ、ウイルス性肝炎(A型、E型を除く)、クリプトスポリジウム症、AIDS、性器クラミジア症、梅毒、麻疹、MRSAの8疾患が法律に明記されるとともに、風疹や水痘、百日咳などが省令で定められている。

 

5類感染症の中で麻疹だけ例外?まさか!

ここで、感染症の専門家が、「インフルエンザとB型・C型肝炎クリプトスポリジウム症、AIDS、性器クラミジア症、梅毒、麻疹、MRSAとでは、感染経路や好発年齢、症状、発症後の経過、感染防御手法等が大きく異なり、これらを同列に扱うのは全くナンセンスだ。法律がおかしい」と反発したくなる気持ちも理解できなくはない。

 

だけど、いずれも、社会においてありふれた感染症であり、患者の権利と蔓延防止の必要性を比較考量すれば、社会防衛の名のもとに、患者の身体的自由権や財産権を侵害することが一切許容されない、その程度の感染症に過ぎないという点では共通するのだ。

 

考えてみるがいい。B型肝炎C型肝炎、あるいはAIDSの患者一人ひとりの生活状況や交通移動ルートを根掘り葉掘り調べ上げて暴き立て、「怖い怖い。伝染しないようくれぐれも気をつけよう」なんてパニックを誘発するような広報をする自治体があるだろうか。あるいは医者がこんな発言すれば、100%確実に医道審議会送りで行政処分ものだ。

 

インフルエンザやクリプトスポリジウム症、性器クラミジア症、梅毒、MRSAも一緒だ。これらの病気でも、死に至る患者は存在する。だけど、致死性の怖い病気だと恐怖を煽ったり、患者のプライバシーを暴くようなイカれた広報を行う自治体など存在しない。むしろ、地域住民に対し、過度に恐れず冷静な対応を呼びかけるのが行政の使命のはずだ。市民がパニックを誘発しないよう、行政が冷静な広報を行うべきなのは、1類から4類感染症であっても事情は同じだ。

 

にもかかわらず、何故か、あまた存在する感染症の中で、唯一の例外として、たかだか5類感染症の1つである麻疹だけは、医学界が「怖い怖い。伝染しないようくれぐれも気をつけよう」なんて主張を展開し、行政も追従して、致死性の怖い病気だと恐怖を煽り、患者のプライバシーを侵害するイカれた広報が平然と行われる。医学界や行政が結託して、社会の存続を脅かす重大事態が発生したかのごとく厳戒態勢を取るよう市民に呼びかけ、官製パニックを創出して嬉々としている様は、どう考えても正気の沙汰ではない。

 

ここまで麻疹騒ぎの愚かさを縷々述べても、それでもなお、「麻疹ウイルスは感染力がメチャクチャ高い上に、感染者の1000人に一人は死ぬし、SSPEのリスクもあるので、やっぱメチャクチャ怖い病気であることは歴然とした事実だ」とムキになってノタまう輩がいるかも知れない。

 

確かに、ライノやコロナなどが原因の普通の感冒と加べると麻疹の症状は比較的重いし、免疫不全状態の者が麻疹ウイルスに感染した場合には時に命取りになることはブログ主も否定しない。

 

だけどね、基礎疾患を有しないごく普通の幼児にとっては、なんだかんだ言って、麻疹は、ごくごくありふれた感染症の1つに過ぎない。

 

ではもう一度聞こう。HBVは怖いウイルスなのか、否か。

 

HBVは、空気感染しないもののメチャクチャ感染力は高く、AIDS患者の唾液をバケツ一杯飲んでもHIVには感染しないという比喩的表現との対比において、活動性慢性B型肝炎患者の血液をたった一滴25メートルプールに垂らしても、プール水は感染力を有することがある、というのは公言できないが事実だ。半ばタブーであるが、保育所で、B型肝炎の患児から健康な児童がHBVに感染した蓋然性が高いケースは無数にある。HBVに感染すると、しばしば急性期・亜急性期に劇症肝炎で命を落とすし、キャリアとなって、数十年後に肝硬変や肝がんを発症して死に至ることもある。

 

だけど、小生はHBVが怖い病気だとは思わない。同様に、麻疹についても、特別な社会防衛を講じるべき怖い病気とは思わない。地球上に生存する人類は日常生活を営む上で、日々、様々な健康リスクにさらされている。HBVも麻疹ウイルスも、ヒトが生きていく上で遭遇する様々な健康リスクの1つに過ぎない。HBVが怖い、麻疹ウイルスが怖いというのであれば、極論であるが、人間を辞めるしかない。

 

原因不明のSIDS、先天性・後天性の様々な病気、交通事故などの不慮の事故、自然災害などなど、子どもの命を奪う要因は無数に存在する。そんな中にあって、基礎疾患を全く有しない健康な幼児が、麻疹発症後に重症化し、死に至る確率は非常に低いものであり、ヒトが生きていく上で遭遇する他の様々な健康リスクとの対比において、所詮数多あるリスクの一つに過ぎない。


最後に、更に火に油を注ぎます

この文章を読んでいて、ハラワタが煮えくり返っている小児科医がいれば、さらに火に油を注ごう。

 

「ワクチンの副作用が心配なんです」と不安を訴える保護者に対し、「全然問題ないよ」と答える小児科医。それでも、「だけど、全く副作用がない訳ではないでしょ」と食い下がる保護者を面倒に感じつつ、「副反応が全くない訳じゃないけど、世の中ゼロ・リスクなんて存在しないよ。ゼロ・リスクの追求は不健全!」と口にした、あるいは心の中で呟いている小児科医は少なくないはず。

 

そんな小児科医様に、このフレーズをそのままプレゼントしよう♪
「麻疹に罹って、全く重症化しない訳じゃないけど、世の中ゼロ・リスクなんて存在しないよ。ゼロ・リスクの追求は不健全!」


ともあれ、ごくごくありふれた取るに足りない感染症の1つ、その程度の麻疹による子どもへの健康リスクを、さらに引き下げたいと考える親がいれば、ワクチンを接種すればいいだけの話だ。もっとも、ワクチンの効果には限界があるので、自分の子どもへのワクチン接種を拒否る親がいても決してネグレクトではないし、他の子どもへの感染リスクを高めたとして糾弾される筋合いはない。

 

麻疹についてリスク認知の歪んだ医師たちの中には、「予防接種を拒否する親がいても社会を守るために、ワクチン接種を強制すべきだ」、なんて主張する奴も存在するようだ。しかし、感染症法の制定経緯や理念等に照らせば言語道断だ。

 

所詮麻疹のような5類感染症は、社会においてありふれた感染症であり、患者の権利と蔓延防止の必要性を比較考量すれば、社会防衛の名のもとに、患者の身体的自由権や財産権を侵害することが一切許容されない、その程度の感染症に過ぎない。

 

予防接種の強制は、究極の身体的自由権侵害行為であり、法治国家日本では、1類感染症であったとしても、到底認められるものではない。いわんや、たかだか5類感染症ごときで、強制接種はあり得ないんだよ。

 

 

ついでに述べておくと、「麻疹患者を隔離せよ」とツイートする医師もいるようだが、これも感染症法に照らせば論外の暴言である。感染症法では、1類感染症及び2類感染症については、行政が患者を強制的に入院させる権限を有しているものの、それ以外の感染症については、隔離という発想はそもそも存在しない。3類であろうが、5類感染症であろうが、患者が、憲法で保障された身体的自由権を侵害され、移動が制限されることはあってはならないのだ。

 

仮に、麻疹患者が自由に外出し、その結果、当該患者が他人に感染させたとしても、何ら罪にはならないんだよ。繰り替えすけど、麻疹は、ごくごくありふれた感染症の1つに過ぎず、感染(うつ)し、感染(うつ)されることは社会生活を営む上での日常のひとコマに過ぎず、麻疹を感染されることは社会生活を営む上で受忍すべきリスクである、というのが感染症立法者の意思なのである。

 

ここまで書いちゃうと、かなり原理主義者じみてきてしまった。基礎疾患を有しない健康人だけならともかく、先天性免疫不全者など、健康弱者、マイノリティーへの配慮を著しく欠落した空理空論、暴論だ、といった批判は容易に想定されるところである。筆者は、決して麻疹患者が自由に外出することを推奨している訳ではない。麻疹患者の外出は道徳的に非難すべき愚行である。

 

だけど、健康弱者の人権を最大限考慮してもなお、現行法の解釈としては、麻疹の流行は社会生活を営む上で受忍すべきリスクの1つであることに変わりなく、先天性免疫不全者など健康弱者の麻疹予防のためには、個人免疫を増強するため予防接種の徹底が不可欠であろう。

 

最後に更に付言しておくと、麻疹患者が自由に外出して他人に感染させるのは「バイオテロ」に等しい暴挙だ、といった趣旨の医師によるツイートを目にしたことがある。だけど、医療関係者が、安易に「バイオテロ」という言葉を使うのも注意しましょうね。

 

感染症法では、バイオテロの対象となりうる病原体を、特定病原体等として、一種病原体等から四種病原体等までに分類しているが、麻疹ウイルスは特定病原体等に該当するものではない。素人が、比喩的に「バイオテロ」の語を使うのならまだしも、医師が安易に患者を名指しして用いると、重大な名誉既存、人権侵害行為ですからね。

 

最後に

筆者は、幼児期に麻疹ウイルスに自然感染したので、終生免疫が強固に獲得されており、残念ながら、麻疹ウイルスに再感染したくても感染できない体である。でも、もし、麻疹ウイルスに再感染することがあって、自分が感染した事実を病院や自治体が公表してプライバシーが侵害され、また、自治体等の公表した情報をツイッター等に転載し、感染者である自分のことをバイキン扱いする医師がいたら、名誉毀損で提訴するだろう。

 

裁判したら、絶対にオイラが勝訴し、プライバシーを暴き立てた自治体や、それをツイートした医師が100%敗訴するのは確実だ。

 

ツイッターで、麻疹は怖い、怖いと恐怖を煽る論陣を張っているお医者さん達、感染症法についてきちんと勉強しましょうね。

 

 

【本ブログ内の関連記事】

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