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女性記者セクハラ被害事件簿 第11号から第20号の概要

女性記者セクハラ被害事件簿の第11号から第20号までの10回にかけて、2004年から2017年にかけて発生し報道されてきた事例について紹介してきた。今回は、この10事例について概説する。各事例の詳細に関心があれば、リンク先の本文を読んでいただきたい。

 

なお、本連載は、女性記者が被害者となったセクハラ・わいせつ事件の詳細な検討が、日本における男女間の権力関係やジャーナリズムの抱える構造的課題を分析する上で重要な基礎資料になりうるのではないか、との基本的認識のもとに、セクハラ問題などへの警鐘と社会的啓発を目的としていることを改めて強調しておきたい。とりわけ、各記事の後半の【ブログ主のコメント】は、このような観点から掘り下げた考察であることをお伝えする。

 

ちなみに、女性記者セクハラ被害事件簿の第1号から第10号までの概要については、こちらをクリック

 

京都府警警備3課長が、飲食店内でNHK女性記者の体を触る

女性記者セクハラ被害事件簿 第11号

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/09/212700

京都府警警備三課長の警視が、2004年1月初旬、取材を通じて顔見知りだったNHKの女性記者を京都市内の飲食店に呼び出し、店内で体に触るなどのセクハラ行為をした。NHK側が府警に抗議し、府警監察室が調べたところ、警視がセクハラを認めた。地方公務員法の信用失墜行為に当たると判断し、懲戒処分にした。警視は同日付で退職届を出し、依願退職した。

 

自民党千葉県議が懇談会の席上で、朝日新聞の女性記者の体を触る

 女性記者セクハラ被害事件簿 第12号

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/10/193600

2006年6月30日に千葉市内の料亭で開催された自民党県連政調会と県政記者クラブとの懇親会(党県連主催)の席上のこと。岡田啓介県議会議員(54歳)は、20代の朝日新聞女性記者の隣に座り、無理やり体を触ったり、卑猥な言葉をかけたりした上、女性記者の携帯電話にエッチを迫る卑猥なメールを送信した。朝日新聞が抗議し、議員は「理性と記憶を失うほど酔ってしまった」と謝罪するも、党を離党勧告され、最終的に議員を辞職した。

 

長崎県警捜査二課長が、官舎に取材に来た女性記者に性的関係を要求

 女性記者セクハラ被害事件簿 第13号  

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/11/200300

警察庁から出向中の長崎県警の捜査二課長(警視、38歳)が、2006年4月から5月にかけて複数回、夜回り取材で官舎を訪ねてきたテレビ局の女性記者を部屋に招き入れた。女性記者を部屋に入れた二課長は「ネタ(捜査情報)がほしいのか」などと言って、髪をなでたり肩を抱いたり、性的関係を求める発言をするなどのセクハラ行為をした。記者は、精神的ショックで休職。警視は懲戒処分を受けた後、依願退職した。

 

長崎市の部長が、女性記者をホテルに連れ込み強姦する

 女性記者セクハラ被害事件簿第14号(加害者が自殺した二重に悲劇の事例②)

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/12/203300

長崎市の原爆被爆対策部長は、2007年7月、取材を通じて知り合った20代後半の女性記者を携帯電話で呼び出し、行き先を告げないまま車でホテルに連れ込み、性的関係を強要した。記者は、精神的ショックで休職に追い込まれた。この事件のことが長崎市長の耳にも入り、10月30日夜、市長が直接部長を公舎に呼び出して事情を聞いた。翌31日の朝刊で部長のわいせつ行為が報道された。その日の夜、部長は山道で首を吊り死亡しているところを発見された。その直前、知人に自殺をほのめかしていたという。

 

新潟県関川村の78歳村議が、地元紙20代女性記者にセクハラ

 女性記者セクハラ被害事件簿 第15号  

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/13/203300

2007年6月、取材に来ていた地方紙の20代女性記者に対し、新潟県関川村役場の議員控室で、78歳の村議会議員が「キスしてやるから、こっちに来い」などと発言した。当初、議員は「そんなことはしていない」と反論したが、居合わせた関係者も発言を聞いていた。その後、記者には謝罪したものの、7月3日、関川村議会は臨時会を開き、議会の威厳を損ねたとして、村議に対して、議会で謝罪するよう、賛成多数で決議した。

 

甲子園強豪校の監督と主力選手が、毎日と朝日の新人女性記者に…

 女性記者セクハラ被害事件簿 第16号

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/14/200200

静岡県常葉菊川高校と言えば、高校野球の強豪校の1つであるが、同校の名監督が2006年下旬から毎日新聞の新人女性記者にセクハラ言動を繰り返し、記者は精神的ショックなどで休職した。また、同校の主力選手が、2008年夏、甲子園出場中に宿舎で、今度は朝日新聞の2年生女性記者(前述の毎日記者とは同期)に、公然わいせつ行為を働いた。毎日、朝日の両新聞社は、被害者である一方で、高校野球の主催社でもあり、歯切れの悪い対応であったことが、これを報じた週刊文春や読売新聞から皮肉られた。

 

警視庁の警部が、懇談会で女性記者にセクハラ

 女性記者セクハラ被害事件簿 第17号

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/15/204500

2011年6月の夜、警視庁庁舎内で警視庁総務部広報課の職員と、雑誌記者らとの懇親会が開催されていた。この場で、40代の警視庁警部が、『週刊現代』編集部の若手女性記者に、『君、ほんとにかわいいね』などと言い、廊下に連れ出して頭をなでたりした。警部は、この記者を執拗に二次会に誘い、タクシーの後部座席で、記者に密着し『かわいいね』と連呼していたという。記者から報告を受けた上司は、警視庁に抗議した。

 

仙石官房長官(当時)が、懇談会で女性記者に卑猥な発言

 女性記者セクハラ被害事件簿 第18号

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/17/200500

時は民主党政権下の2011年12月28日の夜。首相官邸内のホールで、政府高官と内閣記者会との懇談会が開催されていた。懇談会の場で、上機嫌だった仙石由人官房長官が、官房長官番を務める日経新聞の女性記者をつかまえて、卑猥な発言を繰り返した。本件は、民主党嫌いで有名な週刊文春週刊新潮が同じタイミングで取り上げられたことから、民主党政権潰しの謀略のキナ臭さを感じた仙石氏は名誉棄損で提訴し、法廷闘争にまで発展した。

 

神奈川県警副署長が、全国紙女性記者と酒を飲み体を触る

 女性記者セクハラ被害事件簿 第19号

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/18/201400

神奈川県警小田署では、2015年5月頃、放火殺人事件や箱根山噴火などへの対応で多忙を極め、記者も多数詰めかけていた。某日、副署長の警視(53歳)が全国紙の女性記者と酒を飲んだ際、体を触るなどのセクハラ行為をした。女性記者側から抗議があり、副署長は懲戒処分を受けた。県警は処分の事実を公表していなかったが副署長が休職状態にあることに感づいた神奈川新聞が報道して表面化した。副署長は体調不良を理由に依願退職した。

 

岩手県岩泉町長74歳が、地元紙女性記者に抱きつきキスする

 女性記者セクハラ被害事件簿 第20号(SKE48須田亜香里も言及して話題となった事例)

https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2018/05/19/120000

岩泉町の伊達町長(74歳)は、2017年10月中旬の早朝、岩手日報の女性記者が取材目的で宿泊していた町内のホテルを訪ね、抱きついて複数回キスするなどのわいせつ行為に及んだ。記者は精神的ショックを受け、休職した。岩手日報は、町長に謝罪と公人としての誠実な対応を要求して報道。町長は、記者が連れ去られる幻聴、幻覚を見たので記者を助けに行ったという不思議な弁解をしたことから、ワイドショーなどでも面白おかしく取り上げられた。SKE48須田亜香里が、番組で自分も高校時代に同様の被害にあったことをカミングアウトし、被害を受けた女性記者を気遣ったことも話題となった。