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女性記者セクハラ被害事件簿 第23号

【加害者】西日本新聞社の男性記者(40代)

 

【被害者】西日本新聞社の女性記者

 

【明るみに出たきっかけ】

毎日新聞』2018年5月26日 西部本社版朝刊

 

【事案の概要】

毎日新聞(西部本社)が、西日(にしび、西日本新聞の略)の40代の男性記者が、同僚の女性記者にセクハラ行為をしたとして、出勤停止10日間の懲戒処分を受けたとの情報を西日関係者から聞きつけ、5月26日の朝刊紙面で報じた。

 

西日関係者によると、男性は2015年5月の送別会で女性記者にキスをした。今年に入って社内調査で確認したという。

 

毎日新聞の取材に、同社広報部は「『事実関係を公にしてほしくない』という被害者の心情などに配慮し、回答を控えさせていただきます」としている。

 

【ブログ主のコメント】

本ブログにおいては、5月20日まで20日回にわたって「女性記者セクハラ被害事件簿」を、また、5月22日から10回にわたって「女性記者不倫事件簿」を連載してきた。

 

キリのいい回数まで続いたので、これらのシリーズを終了しようと思っていたところであるが、その後もチラホラと類似事例が報道されているではないか。てなことで、今後も、女性記者がらみのセクハラ、わいせつ、不倫等のトラブルが発覚すれば、単発的に取り上げることとする。

 

今回のタイトルは、女性記者セクハラ被害事件簿の第23号である。これまで、1993年に発覚した第1号の事案から、2017年に報道された第20号の事案まで、発生時点、または報道時点順に20の事例を網羅的に取り上げてきたが、21号と22号は欠番状態となっている。

 

実は、21号と22号は、昨年と本年に発覚した社会的に大きな問題となった2つの事例を当初は取り上げることも考えていた。しかし、この2例については、既に膨大な論評が存在するため、現時点において本ブログで紹介することは控えることにした。将来的にコメントするかもしれないし、永久欠番になるかも知れない。この2例とは、レイプ魔・山口敬之が伊藤詩織さんを襲った事例と、前・財務次官福田淳一氏がテレビ朝日女性記者を相手にセクハラ発言をした事例である。

 

今回の西日のケースについてのコメントに戻ろう。本件は、毎日新聞西武本社版のみが報道しており、当事者の西日を含め、他社では一切報じられていない。当事者の西日の判断はさておき、他社はそれ程のニュース・バリューはないとの判断であったと思われる。では、毎日新聞西武本社は、いかなる判断の下で本件を報道したのであろうか。

 

想像するに、毎日の記者が同業の西日記者と飲み会の席で、本件セクハラの話題がのぼり、毎日記者が翌日デスクに報告したところ、「今なお、女性記者のセクハラ事例は話題性が残っているし、商売ガタキでもある西日が本件を秘匿していることも面白い。ベタの扱いでも記事化しよう」という判断だったのであろう。

 

対する当事者の西日では、5月1日の朝刊紙面において、社員に対し、過去に受けた業務上のセクハラ、パワハラ被害の調査を実施、対応策を検討する旨を次のとおり、高らかに宣言している。

 

西日本新聞社も調査へ セクハラ、パワハラ

 前財務事務次官のセクハラ問題を受けて、西日本新聞社は社員に対し、過去に受けた業務上のセクハラ、パワハラ被害の調査を実施します。女性、男性、職場を問わず、任意で報告してもらい実態を把握します。被害があった際、上司など職場の対応に問題がなかったかも含め、対応のあり方と防止策を検討していきます。

 

 西日本新聞社就業規則に「セクシュアルハラスメントの禁止」を定め、社員からの訴えに対応しています。また、社員が加害者になることがないよう、社員向けのサイトで「防止のための心構え」や「避けるべき言動」を紹介し、加害者に対して厳しい対応をとる、と明記しています。

 

今回毎日が報じた社内セクハラの事例は、西日が5月1日の紙面で宣言した調査の一環ではなく、それ以前に発覚していた可能性が高い。女性記者が同僚の男性記者からキスをされたのは3年も前のこと。おそらく、彼女はずっとモヤモヤとしたものが残存し、社の人事担当に被害を相談すべきか思い悩んでいたところに、このところの「#Me Too」運動に勇気づけられて、声をあげたのであろう。

 

西日といえば、わが国においていち早く署名記事制度を導入したり、かつて筑紫哲也が論説記事の質が高いと絶賛するなど、古い世代のマスコミ業界人はリベラルな社風と評価する向きもあるようだ。しかし、最近では、裏取りが不十分なまま暴走するタブロイド紙路線に落伍しているとの意見も耳にする。

 

ともあれ、西日は、「『事実関係を公にしてほしくない』という被害者の心情などに配慮」とプライバシーを理由に本件社内セクハラを非公表扱いとしているが、5月1日の紙面で高らかに実施を宣言したセクハラ、パワハラ調査の結果については、まとまり次第、是非とも紙面で詳説していただきたいものである。

 

 

【本ブログ内の関連記事】

・セクハラ、レイプ、不倫が頻発する女性記者という職業
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・女性記者セクハラ被害事件簿 第1号から第10号までの概要
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・女性記者セクハラ被害事件簿 第11号から第20号までの概要
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・女性記者不倫事件簿 第1号から第10号までの概要
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・女性記者セクハラ被害事件簿 第6号
 加害者が自殺した二重に悲劇の事例①
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・女性記者セクハラ被害事件簿 第14号 
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